2013 Fiscal Year Annual Research Report
小型矩形SP試験片を用いた高Crフェライト系耐熱鋼溶接部の高精度余寿評価
Project/Area Number |
24360294
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
駒崎 慎一 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (70315646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳永 辰也 鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (40457453)
郭 永明 鹿児島大学, 理工学研究科, 助教 (60262375)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | スモールパンチ試験 / クリープ / 余寿命評価 / 溶接継手 / 高Crフェライト系耐熱鋼 / デジタル相関法 / Type IV破壊 |
Research Abstract |
本研究では,試料採取の際に実機部材に損傷を与えない程度の小さな矩形試験片を用いて,溶接継手部全体のクリープ特性を計測・評価する新しい微小試験片試験技術の開発を目的とする.具体的には,矩形試験片の長手方向の両端のみにて試験片をクランプするという新しいスモールパンチ(SP)クリープ試験法に関する実験および解析的研究を行う.平成25年度は下記の研究項目を実施した. ボイラ用12%Cr鋼溶接継手より大型の角状の単軸クリープ試験片を採取し,種々の時間で試験を途中止めして様々な損傷度を有するクリープ中断材を作製した.このクリープ中断材を経年劣化模擬材とし,ここからH24年度に決めた形状の小型矩形試験片を採取した.Type IV損傷のメカニズム解明とその評価という観点から,変形・破壊特性の板厚方向依存性も併せて調査した.その結果,経年劣化模擬材のクリープ破断時間はいずれも新材に比べ短かった.また,新材では採取位置の影響はあまり認められず,破断時間は30~40h程度とほぼ一定であった.一方,経年劣化模擬材の破断時間は採取位置に依存し大きく異なった.表面より約34mmのところから採取した試験片の破断時間は15h程度と新材に比べその減少量はわずかであったが,表面に近づくにつれて破断時間の減少は顕著になった.表面からの距離が約0.5mmと4mmの試験片においては,破断時間はそれぞれわずか13sと11minであった.なお,SPクリープ試験データの単軸クリープ試験データへの変換方法については未だ有効な方法は得られておらず,H26年度に引き続き検討する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題で新たに提案したスモールパンチクリープ試験法をボイラ用12%Cr鋼溶接継手の経年劣化模擬材へ適用した結果,経年劣化模擬材のクリープ破断寿命はいずれも新材に比べ短く,また表面に近いものほどクリープ寿命の減少が顕著であることがわかった.これは,本手法が溶接継手部全体のクリープ特性評価あるいは余寿命診断技術として大変有望であることを意味している.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き経年劣化模擬材のスモールパンチクリープ試験データを蓄積するとともに,下記項目について検討する. 1.母材より求めた定常平均相当応力を用いたデータ整理:小型矩形試験片においても定常平均相当応力は試験期間の大半で一定になる.従って,従来SP試験と同様,母材試験片で求めた定常平均相当応力を用いてSPクリープ破断試験データを整理すると,負荷応力で整理した単軸クリープ破断試験データにほぼ一致することが期待される.これは,継手組織に起因した応力・ひずみ分布の不均一性を特に考慮せず,溶接継手材の単軸クリープ破断試験結果を負荷応力で評価するのと同じである. 2.デジタル画像相関法により測定した局所応力によるデータ整理:定常平均相当応力によるデータ整理が困難であると判断された場合は,変形が集中し破壊の起点となるHAZ細粒域での実応力を用いたデータ整理を試みる.この局所応力は,デジタル画像相関法によるその場変形解析の結果に基づいて求める.併せて,有限要素法による応力解析も実施し,その応力値の妥当性についても検証を行う. 3.Type IV損傷メカニズムに関する冶金的考察:Type IV損傷のメカニズムを明らかにするために,単軸クリープ試験片や小型矩形試験片のHAZ局所領域におけるミクロ組織変化を高分解能TEM観察やミクロ組織3D定量解析,ナノインデンテーション試験などによって詳細に調査するとともに,それらとHAZ局所領域のひずみ分布や微小き裂発生位置との対応について検討する.
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Research Products
(3 results)