2013 Fiscal Year Research-status Report
越波型波力発電開発に向けた越波量の定式化とそのシミュレーション技術の開発
Project/Area Number |
24360360
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
田中 博通 東海大学, 海洋学部, 教授 (90134014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 將人 八戸工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (60280319)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 波力発電 / 越波式波力発電 / 越波量 / 数値シミュレーション / 海洋エネルギー |
Research Abstract |
越波式波力発電装置は、襲来した波を傾斜板によって遡上させ位置エネルギーを持たせる。そして、越波した水の送水エネルギーによってタービンを回転させ、トルクを得ることで発電するものである。開発している越波式波力発電装置は、どのような波の条件(波高・周期)に対しても効率良く波を越波させ、より多くの水を取り入れることが必須条件である。本研究は、貯水槽に大型水中ポンプを設置し、貯水タンクに越波流量を送水することにより、波高が大きな実験ケースでも十分な収録データを得ることができ、より正確な越波量を求めた。また、本実験で使用した多段水槽(1/10模型)は、開口部の幅が10cmとなっているため、幅の狭い貯水槽への越波量を計測することが可能となるよう各水槽にダイヤフラムポンプを用いて貯水タンクへ越波、流入した水を貯水し、越波量を正確に測定した。今年度は、不規則波の諸量と越波量の関係を明らかにした。この結果から、越波式波力発電の適地の予想と発電効率を考慮することによって発電量を見積もることが可能となる。 越波式波力発電装置の基礎技術を確立するため、平面水槽において不規則波で行った波の打ち上げ高と越波流量の実験データを使用して数値解析を行った。遡上および越波流量算定のための数値計算のコードには、砕波や飛散等の自由水面を扱え、乱流モデルが考慮できる「熱流体計算ソフト」を用いた。まず、設置予定箇所での波浪観測結果を整理し、越波量算定に用いる代表的な波条件を設定した。次に模型実験にて計算モデルの再現性を検討した。最後に現地スケールでの形状データを対象に、不規則の水位変動の時系列を作成して現地における越波流量の算定を実施した。今年度は、数値計算の再現性が確認できたので、現地スケールでの形状に対する遡上、越波計算を実施した。計算に用いた波は、規則波と不規則波とし、形状は排水管の有無を含め全4ケースを実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
不規則波に関する越波量を正確に把握し、波の諸量に対する越波量の定式化を行うことができた。 また、従来では再現できなかった不規則波の越波現象を数値シミュレーションすることが可能となった。 以上より、今年度は計画通りに研究が進んだと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
越波式波力発電は多段水槽で構成されていることから、今までの研究で求めた不規則波の越波量を各水槽の平均海面からの高さ(越波揚程)との関係を考慮した実用的な越波量の算定式の確立を目指す。 越波量の数値シミュレーションは、越波式波力発電の実形状とし、越波および排水までの一貫した計算を可能とする。また、3次元計算を可能とし、より実用的な計算手法を確立する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
共同研究者との研究打ち合わせが、メールなどで適切に行うことができ、研究打ち合わせ旅費を使用しなかったため。 最終年度は、研究の取りまとめを行うため密に打ち合わせを行う必要があり、その旅費として使用する計画である。
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