Research Abstract |
VAMP727のlongin domainに存在する特徴的な挿入配列がどのように獲得され,VAMP72メンバーの機能分化においていかなる役割を果たしたのかを調べるため,まずゼニゴケ(苔類),ベイトウヒ(裸子植物),グネツム(裸子植物),イネ(単子葉植物),ミヤコグサ(真正双子葉植物マメ科),レタス(真正双子葉植物キク科)などの植物からVAMP72ホモログを単離し,そのアミノ酸配列を調べた.その結果,挿入配列は選択的スプライシングに起因しており,さらに進化の過程で挿入配列中の酸性アミノ酸の数が増加する傾向が認められた.そこで,この挿入配列の獲得とその酸性化がそれぞれVAMP72の機能にどのような影響を与えたのかを,挿入配列の欠失や酸性度の減少をもたらす変異を導入することにより調べた.その結果,挿入配列の有無は分泌経路から液胞輸送経路への機能転換に,酸性度の上昇は定常的な細胞内局在がトランスゴルジネットワークから多胞化したエンドソームに変化するのに必要であることが示唆された.続いて,VAMP727と相互作用する因子を酵母ツーハイブリッド法を用いて探索した-その結果,VAMP727とVAMP721の双方と相互作用する分子の単離に成功した. 植物特異的なRABGTPaseであるARA6についても,ゼニゴケにおけるホモログ(MpARA6)の機能解析を進めた.これまでに,MpARA6が多胞化したエンドソームから葉緑体外胞膜への輸送において機能することを示唆する結果を得るとともに,ARA6のエフェクター候補も葉緑体機能に関わることを示す結果を得ている.
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