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2012 Fiscal Year Annual Research Report

細胞力覚が遺伝子発現を制御する分子機構とその生物学的意義

Research Project

Project/Area Number 24370085
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (B)

Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

小椋 利彦  東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (60273851)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords細胞力覚 / 遺伝子発現 / 遺伝子破壊 / 力覚分子
Research Abstract

ゼブラフィッシュの心臓は心拍、血流が無いと正常発生しない。また、心臓内の血流が乱れると、ヒトの先天性心疾患と酷似した心奇形が生じる。このことは、心臓を構成する細胞(主に心筋細胞、心内膜細胞)への力学刺激が、分化、増殖、形態形成に重要な役割を果たすことを意味している。また、無重力下の宇宙飛行士に見られる骨萎縮、骨格筋の萎縮、循環動態の変化なども、重力に起因する力学刺激が極度に低下することが原因と考えられる。このような視点に立つと、力学刺激の低下や反応性の低下によって引き起こされる諸症状は、肥満などの代謝異常、循環機能恒常性、老化に見られる症状に強く関連していることが示唆される。しかしながら、力学刺激によって引き起こされる成体の反応や力学刺激から生化学反応への変換機構、いわゆるメカノトランスダクション(mechanotransduction)の分子機構は、ほとんど解析されていない。
申請者は、容易に心拍動態を制御できるゼブラフィッシュをモデルに、心拍/血流によって発現が維持され、弁形成に必須の働きをもつ複数の遺伝子を単離した。また、循環動態の変化によっても、このよう因子は中枢神経系の大血管にも誘導されるなど、全身の血管系でも重要な働きを担っていることが明らかとなった。本研究では、これらの遺伝子を糸口に、血流、心拍に起因する力学的刺激から遺伝子発現、ひいては弁形成、心臓/脈管発生に至る未踏のシグナル伝達機構を解明することを目的とする。また、適宜、マウスを用いて、ヒトの循環器疾患を念頭においた研究を展開する。加えて、力学刺激が重要な組織(骨、軟骨、骨格筋、間葉系幹細胞など)にまで研究領域を拡大し、細胞力覚の生物学的意義を明らかにする。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

導入した Filamin C ノックアウトマウスの解析を行う予定であったが、購入した ES 細胞の品質が不良で、ノックアウトマウスのコロニーの作製が出来なかった。キメラ個体は生まれるものの、遺伝子破壊個体となっておらず。しかも食殺頻度が高く、新しく ES 細胞を購入することとした。しかしながら、Filamin C に結合する CBFb との機能的関係性、in vitro 実験での再検証は進んでおり、一定の進展はあった。加えて、心筋損傷モデルをゼブラフィッシュで確立することができ、心筋損傷直後に発現誘導される遺伝子を複数同定し、これまで解析してきた moR-21、egr1 も含まれていた。この知見は、新しい研究の方向性につながると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

Filamin C 遺伝子破壊 ES 細胞クローンの再購入、あるいは自前でターゲティングベクターを作製する必要がある。現存する ES 細胞を再チェックし、その方針を決定できる。これまでの研究から、心筋損傷後の再生、皮膚損傷後の wound healing、ゼブラフィッシュヒレ切除後の再生など、新しい知見を得たので、これからの取り組みとして導入したい。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

Filamin C ノックアウト用に購入した ES 細胞の品質が悪く、キメラ個体は生まれるものの、遺伝子破壊個体は生まれない。また、食殺頻度も高く、コロニーの拡大が容易ではない。このため、Filamin C 遺伝子破壊個体の表現型解析が遅れているため。
Filamin C の機能解析については、in vitro での解析が順調に進行している。また、力刺激を伝達する上で必須のクロマチン因子を新たに同定している。この因子の詳細な解析に研究資金を充てる。また、Filamin C 遺伝子ノックアウトについては、さらに別のノックアウト ES 細胞クローンを購入することを検討すると同時に、これまで新たに同定した因子の遺伝子ノックアウトマウスを作製する必要があることから、これに研究資金を充当する。

  • Research Products

    (7 results)

All 2013 Other

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (5 results) (of which Invited: 5 results)

  • [Journal Article] Gain-of-Function Mutations in RIT1 Cause Noonan Syndrome, a RAS/MAPK Pathway Syndrome.2013

    • Author(s)
      Yoko Aoki et al.
    • Journal Title

      The American Journal of Human Genetics

      Volume: 93 Pages: 173-180

    • DOI

      10.1016/j.ajhg.2013.05.021.

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Haemodynamically dependent valvulogenesis of zebrafish heart is mediated by flow-dependent expression of miR-21.2013

    • Author(s)
      Toshihiro Banjo et al.
    • Journal Title

      Nature Communications

      Volume: 4 Pages: 1978-1978

    • DOI

      10.1038/ncomms2978

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 力を視点に、生命現象を再解釈する2013

    • Author(s)
      小椋利彦
    • Organizer
      第19回創発システムシンポジウム(創発夏の学校2013)チュートリアル講演&ワークショップ
    • Place of Presentation
      大阪
    • Year and Date
      20130831-20130902
    • Invited
  • [Presentation] 生命現象を力学的に再解釈する、そして、生命現象を再構築する

    • Author(s)
      小椋利彦
    • Organizer
      東京工業大学生体システム専攻バイオサイエンスシンポジウム
    • Place of Presentation
      東京
    • Invited
  • [Presentation] 生命現象を力を視点に再解釈するために

    • Author(s)
      小椋利彦
    • Organizer
      生物物理学会東北支部会
    • Place of Presentation
      仙台
    • Invited
  • [Presentation] 細胞は力をどのように感知し、どのように反応するか

    • Author(s)
      小椋利彦
    • Organizer
      日本人類遺伝学会第8回大会特別講演
    • Place of Presentation
      仙台
    • Invited
  • [Presentation] Physical forces as a regulator of morphogenesis and homeostasis; paving a way to medical application

    • Author(s)
      小椋利彦
    • Organizer
      第8回研究所ネットワーク国際シンポジウム
    • Place of Presentation
      京都
    • Invited

URL: 

Published: 2015-05-28  

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