2013 Fiscal Year Annual Research Report
土壌中の封入空気が湿潤気候下の地表面限界領域における物質移動に与える影響
Project/Area Number |
24380130
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西村 拓 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (40237730)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井本 博美 東京大学, 農学生命科学研究科, 技術職員 (40419255)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 溶質移動 / コロイド / 不飽和土 / セシウム / CO2 / 荷電特性 |
Research Abstract |
Thermo-TDRセンサーを複数点挿入したカラムにおいて,封入不飽和状態を調整し,封入不飽和状態の持続性と透水性の変化の関連を明らかにする浸透実験を行った.Thermo-TDRセンサーの測定精度を検討し,安定して熱物性を測定することが可能になった.また,封入不飽和状態が水溶性物質とコロイドならびにコロイド吸着性物質(重金属,Csなど)の移動に与える影響を明らかにするため,土壌を充填したカラムに封入不飽和状態を設定し溶質移動実験を行った。さらに,負荷する溶液中のコロイド画分ならびに土壌中の粘土分の荷電特性を新規購入のゼータ電位測定システム(ELSZ型)で分析し,コロイドが土中に集積するような溶液条件とコロイドが土中を容易に通過するような溶液条件について,検討を進めた. 現在喫緊の課題となっている福島第一原子力発電所事故によって放出された放射性物質の移動に関連して,福島県の山林において採取した森林の林床土壌からコロイドを抽出し,このコロイドの荷電特性,粒径分布等を上述のゼータ電位測定システムで分析した. 本実験では,土中に大気と連通もしくは孤立した気相がある場合の物質移動を対象としている.この条件下の土壌呼吸について検討するための土中ガス濃度測定システムについて検討を進め,自動で土中CO2をモニタリングするシステムを構築した. コロイドによる溶質移動促進を議論するために,コロイドの無い場合の水溶性化学物質の土中におけるイオン交換と移動について理論的検討を行った.その結果,従来NaやCaの土中の移動を議論する際に仮定していたような線形吸着ではなく,より現実に近いFreundlich式やLangmuir式を用いることで,放射性Csの土中の移動をより適切に表現できる可能性を指摘した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新規購入のゼータ電位測定システムを用いてコロイドの荷電特性を測定し,この結果からカラム実験において,適切なコロイドならびに土壌の条件を決める予定であったが,精度高い荷電特性データを取るために時間を要し,その結果,カラム実験の反復数が十分ではなかった.これについては,次年度早々に実験を増やし,遅れた分を取り戻す予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
コロイド移動実験について若干の遅れがあるので,次年度当初は,これに注力する.また,イオン交換等温線のモデル式の選択を適切なものにすることで,水溶性イオンの移動に関する予測精度があがることが分かったので,この点についてさらに検討を進め,コロイド移動実験結果の考察に備える. 研究費申請時に計画していた原位置における実験システムを設計製作し,原位置で開放不飽和,封入不飽和を調整可能な実験を実施する.
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Research Products
(7 results)