2012 Fiscal Year Annual Research Report
犬における内臓リーシュマニア症の病態解明と原虫存続機構の分子基盤
Project/Area Number |
24380163
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
片倉 賢 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (10130155)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 大智 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 准教授 (00346579)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 感染症 / 獣医学 / 犬 / 寄生虫 / 内臓リーシュマニア症 / 免疫 / 制御性T細胞 / 病態 |
Research Abstract |
内臓リーシュマニア症は人獣共通原虫性疾患であり、犬は保虫終宿主として重要な役割を果たしている。本研究では、アジア・アフリカでの主要原虫種であるLeiShmania donovaniによる犬 リーシュマニア症の急性期と慢性期の宿主免疫応答と病理学的変化を明らかにすることを目的として、自然感染例と実験感染例について以下の項目を研究する。(1)バングラデシュにおける犬のリーシュマニア自然感染例の疫学と病態(2)実験的犬リーシュマニア症の病態と制御性T細胞(Treg)の役割(3)原虫が内臓から全身、とくに皮膚や腎臓に播種する機構 平成24年度は、バングラデシュにおける犬のリーシュマニア自然感染例の疫学調査を実施した。インドア亜大陸(インド、ネパール、バングラデシュ)の人の内臓リーシュマニア症はL.donovaniを原因虫とするが、これまでサシチョウバエによって人から人へ伝播されると考えられてきた。しかし、媒介サシチョウバエ種は人獣共通吸血性であることから、保虫動物の存在も考えられているが、その実態は不明のままであった。そこで今回、バングラデシュの本症の流行地で野犬を捕獲し、末梢血からリーシュマニアDNAのPCR検出を試みた。第1回目の調査では、85頭のサンプルのうち1頭(1.2%)にPCR陽性が認められ、PCR産物の塩基配列はL.donovani原虫由来であることを確認した。第2回目の調査では、50頭の野犬のうち、6頭(12%)が抗体陽性であり、5頭(10%)がPCR陽性であった。このことから、バングラデシュにおいては、犬が内臓リーシュマニア症の保虫動物として本症の伝播に関与している可能性が強く示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、ビーグル犬にLeishmania donovaniを実験感染させ、経時的に安楽死させて採材する計画であったが、経費と施設の問題から、超音波診断装置のガイド下で肝臓と脾臓の生検材料を経時的に採材する計画に変更した。ポータブルタイプの超音波診断装置の新機種の販売を待っていたため、実験的犬リーシュマニア症モデルの確立を平成24年度内に実施することができず、バングラデシュの自然感染例の研究を先行させた。
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Strategy for Future Research Activity |
ポータブルタイプの超音波診断装置の新機種の入手の見通しがたったため、実験的犬リーシュマニア症の解析を進める。また、本ポータブルタイプの超音波診断装置をバングラデシュに携行し、抗リーシュマニア抗体陽性犬からリーシュマニア原虫の分離を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
リーシュマニア感染ビーグル犬の経過観察に6(12ヶ月を要するため、長期間の犬の飼育管理と採材、データ解析を継続する。また、原虫が内臓から全身、とくに皮膚や腎臓に播種する機構を解析するために、蛍光色素を恒常的に発現するリーシュマニア原虫を作製する。
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Research Products
(3 results)