2013 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質内包光開裂性ナノ粒子を用いた細胞内タンパク質の制御と病態モデルの構築
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24390007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 大 東京大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (30332943)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / 細胞 / 光 / 機能制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
物質が機能する場所やタイミングの制御は、物質の適正な使用、安全面なので非常に重要である。本研究で我々は、低分子化合物を内包した光開裂性シリカ製ナノ粒子を開発した。本ナノ粒子の調製には、ラジカル重合を用いず、また形成される網目構造が非常に細かいため、いろいろな低分子化合物(ローダミン、propidium iodide (PI)、ナイルブルー)を、機能を維持した状態で内包した。 一方、本ナノ粒子に光照射することで、内包した物質は放出され、機能を回復したことから、本ナノ粒子は汎用的な機能制御法として使用できると考えられた。さらに照射する光量を増加させるに従い、放出される内包物質の量も増加した。しかし調製したナノ粒子は細胞内に取り込まれないため、PI内包ナノ粒子の表面に細胞膜透過性ペプチド(R8)を被覆し、細胞に導入した。その結果、光照射前はナノ粒子に内包された状態で細胞質に存在していたPIが、20秒間の光照射によって、ナノ粒子から放出され、2分後には核内に移行していることが観察された。したがった本ナノ粒子は、内包していた小分子を短時間の光照射で放出し、直ちに機能を発現させることが可能な、優れた時空間制御法として利用できると考えられる。 最近、細胞内の局所での物質の機能に興味が集まっているので、本ナノ粒子を用いることで、これらの解析が可能になると期待している。また機能性物質の放出を光で正確に制御可能な本ナノ粒子は、DDSや光センサーへの応用も期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノ粒子を用いて細胞内物質の機能を制御法を開発し、本手法で細胞内の物質の機能解析に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した手法を用いて細胞内反応の解析を行う
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Causes of Carryover |
当初の予想に反し、ナノ粒子の粒子径によって、タンパク質放出の際の細胞内の動態が大きく変化することを示唆する予想外の知見が明らかになった。研究遂行上、ナノ粒子の粒子径が細胞内動態に与える影響を詳細に検討する必要が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
開発したナノ粒子を用いた細胞内反応の解析を行う。
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