2014 Fiscal Year Annual Research Report
NOX1を標的とするメタボリックシンドロームの治療戦略
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24390063
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
矢部 千尋(西村千尋) 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70150571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 和実 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60305571)
松本 みさき 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80533926)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 腎臓 / 活性酸素種 / 酸化ストレス / 細胞老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内ROSの主要産生源であるNADPH オキシダーゼの触媒サブユニットNOXには複数の分子種が存在し,腎臓ではNOX1, NOX2, NOX4の発現が認められる.1型糖尿病モデルの腎臓で NOX1 の発現が著明に上昇することから,Nox1遺伝子欠損マウス(KO)を用いて糖尿病性腎症におけるNOX1の役割を明らかにすることとした.
7週齢のKOと同腹野生型マウス(WT)尾静脈からストレプトゾトシンを2回投与して高血糖を誘発した3週後の時点において,腎障害の指標となるアルブミン尿および血清尿素窒素の上昇,炎症や線維化に関わる諸因子の遺伝子発現,炎症性細胞の浸潤については両遺伝子型マウス間に差は認められなかった.しかしHE染色による組織学的解析ではWT群の腎臓で認められる糸球体体積およびメサンギウム領域の拡大はKOで有意に抑制されていた. 一方,酸化ストレスの指標である腎組織中8-OHdGとTBARSはWT群で顕著に増加していたが,KOでは有意に抑制されていた.さらにWTの腎組織ではprotein kinase C (PKC)-αと-βの膜移行と酵素活性の増加が認められたのに対し,KOの腎組織ではPKC活性化が有意に抑えられていた.PKC下流のp38 MAPKのリン酸化はWT群での顕著に増加していたが,KOでは有意に抑制されていた.p38-MAPKのリン酸化亢進に伴いサイクリン依存性キナーゼ阻害因子p27Kip1の発現増加が認められたが,KO群では有意に抑制されていた.さらにDNA損傷マーカーγ-H2AXおよびβガラクトシダーゼ陽性細胞の増加はKO群で有意に抑制されていた. 以上の結果よりNOX1由来のROSは高血糖下においてPKCを介してp38/p27 Kip1シグナル伝達経路を活性化し,糸球体肥大とメサンギウム領域の拡大を伴う細胞老化を促進することが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
慢性腎臓病モデルにおける解析を終了し、論文にまとめた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は肝臓の病態生理について in vivo および細胞レベルでの解析を進める.
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Causes of Carryover |
最初に予定した高脂肪食負荷の動物モデルで検討を行った結果,ApoE ノックアウトマウス (ApoEKO) の遺伝子背景を持つマウスにて解析する必要があることが判明した. このため別途繁殖用 ApoEKO を入手するにあたり,書類手続きと搬入に伴う検査に時間を要し,納入が次年度になっため動物経費に未使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
動物搬入後実験を行うこととして未使用額を経費に充当する.
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Research Products
(3 results)