2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24390068
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
泉 哲郎 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (00212952)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | インスリン / 分泌顆粒 / 開口放出 / 細胞内膜輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、調節性分泌経路に関わる2つのRab27エフェクター分子の機能解析を行った。Rab2aとRab27a両者に結合できるデュアルエフェクター分子に関しては、まず、それぞれのRabの膵β細胞における機能を調べた。Rab2aをノックダウンすると、細胞内インスリン含量、細胞外インスリン分泌量とも減少し、Rab2aはインスリン分泌顆粒の生成や成熟に関与することが示唆された。一方、Rab27aをノックダウンすると、インスリン分泌量は減少するものの、インスリン含量は逆に増大し、分泌抑制により細胞内インスリンが蓄積することが示唆された。興味深いことに、デュアルエフェクターをノックダウンすると、分泌量は減るものの、含量はほとんど変わらず、Rab2a、Rab27aそれぞれをノックダウンした場合の中間の表現型を示した。現在、このデュアルエフェクター分子が細胞内分泌顆粒の成熟過程のどの段階において、Rab2a、Rab27aと結合・解離するのかを調べている。一方、別のRab27エフェクター分子exophilin8については、これまでの細胞レベルでの解析で、生成された顆粒を細胞膜下の皮質部アクチン網に一時的に捕捉し、開口放出に備える予備プールを形成する作用があると考えられている。我々は、本分子に関する2種の遺伝子改変マウスを作製してin vivoの機能解析を行ったところ、ノックアウトマウスと、C端を除いた変異分子を発現するノックインマウスで、インスリン分泌能に大きな差があった。そこで本分子に結合するタンパク質を質量分析法で解析したところ、C端に結合する新規分子を同定した。現在、この分子とexophilin8の相互作用を解析している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2つのプロジェクトのうち、デュアルエフェクター分子の機能については、やや複雑な実験結果が出ており、別の解析手法を用いて分析する必要が生じ、生理的機能を明らかにするのにもう少し時間を必要とする。exophilin8のプロジェクトについては、12で述べた当大学動物施設の事情により、遺伝子改変マウスの解析が、やや遅れている。また、9で述べたように、exophilin8結合分子を新たに同定したため、今後、その解析に一定の時間を必要とする。
|
Strategy for Future Research Activity |
デュアルエフェクター分子の研究の方は、それぞれRabと結合活性を失う変異体の機能解析を進め、今年度中に論文を投稿したい。exophilin8分子の研究については、現在、マウスの方は順調に増えてきており、実験を行う目途が立っている。今後、遺伝子欠損マウスから単離した膵β細胞を用いた解析を進めるとともに、新たに見出した結合因子の解析を継続する。
|
Causes of Carryover |
26年度に、複数の遺伝子変異マウスおよびその組織・細胞を用いた実験を行う予定であったが、本年度、群馬大学の動物実験施設の増改築によるマウスの移動に伴い、各系統の体外受精による清浄化を義務づけられた。そのため、飼育マウスの一部を体外受精用に使用したこと、また、清浄化後のマウスをヘテロからホモ状態に戻すのに一定の時間がかかったこと、などにより、実験用のマウス数を十分に準備できなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
マウスおよびそれ由来の組織・細胞を用いた実験に必要な消耗品や、動物の飼育・遺伝子型タイピングのための研究補助員人件費、動物施設利用にかかる経費、本実験計画の成果発表のための学会出張費に充てたい。
|
Research Products
(8 results)