2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24390094
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
豊國 伸哉 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90252460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 泰昌 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30403489)
赤塚 慎也 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40437223)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 中皮腫 / アスベスト / 予防 |
Research Abstract |
天然の繊維状鉱物であるアスベストは、工業マテリアルとして優れた性質を有していたため、前世紀において世界中で多量に使用された。しかしながら、長い潜伏期を有する予想外の中皮腫発がん性のため、多くの国が長期にわたる社会的な問題に直面している。中皮腫は進行してから見つかることが多く、また治療プロトコールも未だ確立されていない。従って、アスベストに既に曝露されたひとにおいて、どのように発症を予防するかを検討することは重要である。これまでの私たちの研究から、クリソタイル・クロシドライト・アモサイトのすべてのアスベストによる中皮腫発がんにおいて、局所の鉄過剰が病態形成に重要であることが判明している。昨年に引き続いて、ラットの腹腔内にクロシドライトを投与するモデルを使用して、鉄キレート剤(デフェラシロクス)や瀉血による除鉄が中皮腫発症の予防に効果があるかどうかの動物実験を継続し、解析を行った。あらかじめ16週の準備実験を行い、脾臓の鉄含量を測定して、十分な除鉄効果があるかどうかを検討した。最終的に6週齢ラットに10 mgのクロシドライトを投与し、デフェラシロクスの経口投与は25-50 mg/kg/dayであり、瀉血は1週間~2ヶ月に一度4-10 ml/kg/dayを行った。瀉血量は徐々に増やしたところ動物の突然死があったため、それ以降は少なくせざるをえず、意図通りの実験は困難であった。110週令まで観察し安楽死後、解剖で評価した。デフェラシロクス投与は無処置に比べて有意に上皮型の組織型を増加させた。雌においては生存率もわずかではあるが有意に伸びた。これらの結果は、除鉄による中皮腫予防の可能性があることを示唆する。また、特に瀉血に関しては、さらなる検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラットを使用したアスベスト誘発中皮腫モデルにおいて、鉄キレート剤(デフェラシロクス)、瀉血による予防実験がひとまず終了し、その解析によりデフェラシロクスによる除鉄は中皮腫の組織型に関して、悪性度の低い上皮型の割合を多くするという重要な成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は3年間の研究の最終年度にあたる。 中皮腫には大きく上皮型と肉腫型の2つの組織型があり、肉腫型の悪性度や予後が上皮型より有意に悪い。ラットを使用してモデルにおいては肉腫型がヒトに比べて比較的多く得られることが判明したので、肉腫型の特異的な分子を同定して、その検証を行う。また、これまでに施行した除鉄による中皮腫予防実験の解析を継続して施行し、まとめる。その際、腫瘍の遺伝子発現やゲノム変化にも着目して、予防手段で腫瘍の質にも変化がおこるかを検討する。瀉血の効果に関して、再度評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
アスベスト誘発ラット中皮腫の予防実験において、一部の実験をうまく施行できなかったため、最終年度に再挑戦をすることにしたため。 1)これまでに蓄積したラット中皮腫のサンプルや培養細胞株を使用して、中皮腫の中でも予後の悪い肉腫型を規定している遺伝子を探索し、その検証と生物学的意義の追究を行う。 2)アスベストにより発生したラット中皮腫発がんモデルにおいて、予防をしたときとしないときで、中皮腫の遺伝子発現やゲノムに変化があるかどうかを検討する。 3)瀉血による減鉄でアスベスト誘発中皮腫の発生の予防には成功していない。条件を再検討して、再施行する。
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Research Products
(28 results)
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[Journal Article] Cancer-promoting role of adipocytes in asbestos-induced mesothelial carcinogenesis through dysregulated adipocytokine production.2014
Author(s)
Chew SH, Okazaki Y, Nagai H, Misawa N, Akatsuka S, Yamashita K, Jiang L, Noguchi M, Hosoda K, Sekido Y, Takahashi T and Toyokuni S.
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Journal Title
Carcinogenesis
Volume: 35
Pages: 164-172
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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