2013 Fiscal Year Annual Research Report
結核の潜在化機構の解析と、潜在化を利用した新しい結核制圧戦略の提案
Project/Area Number |
24390106
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
松本 壮吉 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30244073)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿戸 学 国立感染症研究所, 免疫部, 部長 (20392318)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 結核 / 増殖制御 / 潜伏感染 / 休眠 / 蛋白質分子機能 |
Research Abstract |
活動性結核に加え、潜在性結核に対処することが結核の制圧につながる。潜在期において結核菌は、増殖を停止した休眠状態にある。これまでに申請者は、MDP1などの結核菌蛋白質を同定し、それが増殖抑止活性など休眠現象や潜在性結核の成立に強く関与することを明らかにしている。本研究では、これまでの研究成果を基に、疾患の潜在化の機構解明をベースに結核の潜在化の維持や誘導による感染制御法の提案を目指している。 試験管内でマウス骨髄由来マクロファージに低酸素環境下で作成した休眠菌と対照として増殖菌を感染させ、産生される炎症性サイトカイン量を測定した。その結果、休眠菌は、増殖菌よりも炎症性サイトカイン産生能が低下していることが分かった。また各種ノックアウトマウスで同様の試験を行った結果、炎症性サイトカインの産生はほぼToll-like recptor 2に依存していることが判明した。 また分担研究者の阿戸等は、ストレプトマイシン依存的に増殖する結核菌を用いて、マウスでの潜伏感染と再燃のモデルを構築した。ストレプトマイシン投与を停止した菌は、抗菌薬に対して抵抗性であることを確認した。増殖期抗原のESAT6やCFP10の産生や休眠マーカーのAcrや結核菌の増殖抑止分子であるMDP1の産生を免疫組織学的に解析を行っている。また、潜在時と再燃時での宿主応答の違いを検討している。 MDP1の未発症者肺での発現を免疫組織学的に検討した。結核種であることが判明した健常者由来の肺組織切片を、HE染色、抗酸性染色、抗MDP1抗体でそれぞれ染色を行った。その結果、結核腫中央部が抗酸性染色に濃染し、同部位をMDP1抗体が強く染色することが分かった。本結果から、潜在期の結核で、実際にMDP1が産生されていることが判明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
休眠菌の免疫賦活能が低下していることを明かにした。今後、その責任分子についての探索を進める。結核菌の増殖抑止活性があるMDP1が潜在期に発現していることをヒトでも確認でした。潜在化を促す宿主因子や物質の探索を、試験管内試験と動物実験により、順調に進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
結核の潜在化機構の解明とそれを応用した、新しい感染制御法の提案を目指す。結核の潜在化に関わる宿主応答と菌側因子の特定およびその相互・相乗作用について解明するため、試験管内解析では低酸素増殖モデルを、動物実験では、ストレプトマイシン依存性結核菌を利用し、それぞれの潜在化と疾患の発症に関わる分子の同定とその制御法について明かにしていきたい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗備品の値引きにより、余剰が生じた。 本研究に関する実験用消耗品に適宜使用していく。また簡便な測定が可能な、キット製品の購入にあてる。
|