2013 Fiscal Year Annual Research Report
肝炎ウイルスによる免疫の攪乱、持続感染化、生体防御応答因子の再活性化による制御
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24390117
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
小原 道法 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 副参事研究員 (10250218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安井 文彦 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 主席研究員 (40399473)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | C型肝炎ウイルス / 持続感染化 / 宿主免疫応答 / 脂肪変性 / ウイルス排除 |
Research Abstract |
C型肝炎ウイルス(HCV)は感染後高率に持続感染化し、慢性肝炎、さらに肝細胞癌を発症し予後も悪い。HCV遺伝子をスイッチング発現できるトランスジェニックマウス(HCV Tgマウス)を樹立し、このマウスが持続的なHCV蛋白発現と免疫応答・慢性肝炎発症を起こし、肝硬変・肝がんを発症することを明らかにした。このマウスモデルを使用し、1)HCVの感染により修飾される肝臓細胞側因子および獲得免疫系の撹乱機序を明らかにする。2)さらに、免疫活性化に伴う蛋白質分解系の亢進が宿主細胞を殺傷せずにウイルス蛋白質を選択的に認識し排除する事を見いだしており、この機構について、細胞内及び個体レベルの両方から解析を行い、そのメカニズムを明らかにし、さらにその制御を目的とした。我々はこれまでにCre/loxPシステムでHCV遺伝子を導入したトランスジェニックマウス(Tgマウス)でC型慢性肝炎の病態(肝臓の索状構造の乱れ、脂肪化、グリコーゲンの蓄積、繊維化)を発症する事を報告してきた。さらに炎症性単球(IM)およびマクロファージ(Mφ)に着目して解析を進めたところ、このマウスの肝臓内では一般的な急性炎症部位で多く見られるM1Mφではなく、慢性炎症部位に見られる炎症性サイトカイン(IL-6, TNFa)を発現するM2Mφが優位に存在している事が分かった。また組換えワクシニアウイルスワクチンが良好な治療効果を示すが、HCVは樹状細胞下流の活性化を阻害してもいることが明らかとなった。この阻害過程を明らかにすることによって、治療ワクチンの効果の向上をめざす。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
組換えワクシニアウイルスワクチンが良好な治療効果を示すが、HCVは樹状細胞下流の活性化を阻害してもいることを明らかとした。この阻害過程を明らかにすることによって、治療ワクチンの効果のさらなる向上をめざす。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫抑制因子の発現が上昇しており、免疫抑制シグナル経路によって炎症反応が抑制され、免疫寛容状態となっている可能性が考えられる。そこで、免疫寛容状態のCre/loxP/HCV-MxCre Tgマウスに抗PD1抗体およびPD-L1抗体等の同定された免疫抑制因子の抗体を投与し、免疫寛容の破綻を試みる。さらに、免疫寛容状態のマウスから分離したマウス脾細胞を正常マウス由来の脾細胞と共培養しCre/loxP/HCV-MxCre Tgマウスに移入し、免疫寛容を誘導するかどうかを検討する。このとき、脾臓および肝臓における炎症性サイトカインや抑制性サイトカインの発現量のプロファイリング、ALTの測定、肝臓の形態学的検索、FACSによるPD1およびPD-L1の発現量の検索を行い、ナイーブ脾細胞を移入した時との相違を比較解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
脾臓および肝臓における炎症性サイトカインや抑制性サイトカインの発現量のプロファイリング、ALTの測定、肝臓の形態学的検索、FACSによるPD1およびPD-L1の発現量の検索を行い、ナイーブ脾細胞を移入した時との相違を比較解析する。 上記研究に使用する抗体及びヒトcDNAチップシステムの購入経費とする。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Targeted induction of interferon-λ in humanized chimeric mouse liver abrogates hepatotropic virus infection2013
Author(s)
Shin-ichiro Nakagawa, Yuichi Hirata, Takeshi Kameyama, Yuko Tokunaga, Yasumasa Nishito, Kazuko Hirabayashi, Junichi Yano, Takahiro Ochiya, Chise Tateno, Yasuhito Tanaka, Masashi Mizokami, Kyoko Tsukiyama-Kohara, Kazuaki Inoue, Makoto Yoshiba, Akinori Takaoka and Michinori Kohara
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Journal Title
PLoSONE
Volume: 8
Pages: e59611
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Hepatitis C virus kinetics by administration of pegylated interferon-α in human and chimeric mice carrying human hepatocytes with variants of the IL28B gene2013
Author(s)
Tsunamasa Watanabe, Fuminaka Sugauchi, Yasuhito Tanaka, Kentaro Matsuura, Hiroshi Yatsuhashi, Shuko Murakami, Sayuki Iijima, Etsuko Iio, Masaya Sugiyama, Takashi Shimada, Masakazu Kakuni, Michinori Kohara, Masashi Mizokami
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Journal Title
Gut
Volume: 62
Pages: 1340-1346
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] A Serine Palmitoyltransferase Inhibitor Inhibits Hepatitis C Virus Replication in Human Hepatocytes2013
Author(s)
Asao Katsume, Yuko Tokunaga, Yuichi Hirata, Tsubasa Munakata, Makoto Saito, Hitohisa Hayashi, Koichi Okamoto, Yusuke Ohmori, Isamu Kusanagi, Shinya Fujiwara, Takuo Tsukuda, Yuko Aoki, Klaus Klumpp, Kyoko Tsukiyama-Kohara, Ahmed El-Gohary, Masayuki Sudoh, Michinori Kohara
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Journal Title
Gastroenterology
Volume: 145
Pages: 865-873
DOI
Peer Reviewed
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