2014 Fiscal Year Annual Research Report
肝炎ウイルスによる免疫の攪乱、持続感染化、生体防御応答因子の再活性化による制御
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24390117
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
小原 道法 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 特任研究員 (10250218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安井 文彦 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 主席研究員 (40399473)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | C型肝炎ウイルス / 持続感染化 / 宿主免疫応答 / 免疫学 / ウイルス排除 |
Outline of Annual Research Achievements |
HCV遺伝子をスイッチング発現できるトランスジェニックマウス(HCV Tgマウス)を樹立し、このマウスが持続的なHCV蛋白発現と免疫応答・慢性肝炎発症を起こし、肝硬変・肝がんを発症することを明らかにした。更にHCV遺伝子組換えvaccinia virus(rVV)株を樹立し、非構造領域を挿入したrVV-N25が治療ワクチンとしての有効性を検証した。 HCVTgマウス肝細胞にHCV蛋白を発現させ経時的に、病態の解析を行った。次にHCVの構造蛋白質発現組換えワクシニアウイルスrVV-CN2、非構造蛋白質発現rVV-N25、全蛋白質発現rVV-CN5を慢性肝炎発症Tgマウスに投与した。 肝細胞にHCV蛋白が発現後、約2年にわたりリンパ球の浸潤像、steatosisなどの慢性肝炎の所見を肝組織でみとめ、600日後では有意に肝細胞癌が発症していた。rVV-N25接種群では接種後1週で肝臓の索状構造やsteatosisなどの正常化が認められた。HCV蛋白質の排除にはCD4,CD8細胞が重要であった。さらにN25接種群では、他群と比較し血清IFNg, TNFa, IL-12, IL-6などの炎症性サイトカインが抑制されていた。Lipo-clodronate投与後にHCV Tg miceの肝脂肪化、索状構造の異常構造など肝組織像が改善しておりmacrophageが肝障害に関与していることが示唆された。HCV Tg miceの肝臓内のmacrophageはM2優位であり、TNFaやIL-6が主にM2 macrophageから産生されていた。 これらの結果はM2Macにより産生された炎症性サイトカインがHCV-TgマウスにおいてC型慢性肝炎の誘導に寄与することを示唆している。さらにrVV-N25は肝臓内炎症性M2 Mac数を減少させる事で肝臓の正常化に寄与することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
組換えワクシニアウイルスワクチンが良好な治療効果を示すが、HCVは樹状細胞下流の活性化を阻害してもいることを明らかとした。この阻害過程を明らかにすることによって、治療ワクチンの効果のさらなる向上をめざす。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫抑制因子の発現が上昇しており、免疫抑制シグナル経路によって炎症反応が抑制され、免疫寛容状態となっている可能性が考えられる。rVV-N25は、炎症性サイトカイン産生M2 Macを減少させることで肝臓の病態を改善し、治療ワクチンとしての効果を発揮することが明らかとなった。今後治療ワクチンの安全性を高めるために、rVV-N25のNS3プロテアーゼ、ヘリケース活性部位およびNS5BのRNA依存性RNAポリメラーゼ活性領域に変異を入れたワクチンを作製する。
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Causes of Carryover |
慢性肝炎発症HCV-TgマウスにHCV-rVVを接種したところ肝臓中の炎症性サイトカイン発現マクロファージの現象が見られた。この減少機序及び肝炎病態発症における炎症細胞のSubsetと役割を明らかにするためのFACS解析などを効率よく行うことができたために未使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究の成果をヨーロッパ肝臓学会で発表及び討議する経費として使用する。
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Research Products
(22 results)
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[Journal Article] The RNA Sensor RIG-I Dually Functions as an Innate Sensor and Direct Antiviral Factor for Hepatitis B Virus2015
Author(s)
Sato S, Li K, Kameyama T, Hayashi T, Ishida Y, Murakami S, Watanabe T, Iijima S, Sakurai Y, Watashi K, Tsutsumi S, Sato Y, Akita H, Wakita T, Rice CM, Harashima H, Kohara M, Tanaka Y, Takaoka A
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Journal Title
Immunity
Volume: 42
Pages: 123-132
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] In vivo therapeutic potential of Dicer-hunting siRNAs targeting infectious hepatitis C virus2014
Author(s)
Tsunamasa Watanabe, Hiroto Hatakeyama, Chiho Matsuda-Yasui, Yusuke Sato, Masayuki Sudoh, Asako Takagi, Yuichi Hirata, Takahiro Ohtsuki, Masaaki Arai, Kazuaki Inoue, Hideyoshi Harashima, Michinori Kohara
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 4
Pages: 4750
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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