2012 Fiscal Year Annual Research Report
原始IL-5産生細胞による免疫と炎症の制御に関する研究
Project/Area Number |
24390119
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
高津 聖志 富山大学, 大学院・医学薬学研究部, 客員教授 (10107055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長井 良憲 富山大学, 大学院・医学薬学研究部, 客員准教授 (30431761)
生谷 尚士 富山大学, 大学院・医学薬学研究部, 客員助教 (40513718)
刈米 アイ 富山大学, 大学院・医学薬学研究部, 客員助教 (50114450)
小笠原 勝 富山県薬事研究所, 主任研究員 (30443427)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | サイトカイン / 自然免疫 / 粘膜免疫 / 免疫監視・腫瘍免疫 / 好酸球 |
Research Abstract |
本研究では、肺や腸管に局在し恒常的にIL-5を産生する原始IL-5産生細胞の性状と機能を詳細に解析し、自然免疫で作動するナチュラルヘルパー細胞との異同、肺・腸管における免疫・炎症調節及びTh2型の自然免疫と獲得免疫における役割を明らかにすることを目的とした。平成24年度は、(1)原始IL-5産生細胞の同定と活性化機構の解析、(2)原始IL-5産生細胞による免疫・炎症調節とその制御、に関する研究を行った。 (1)我々が作成したIL-5/Venusノックインマウスを用い、原始IL-5産生細胞とナチュラルヘルパー細胞との比較検討を行った。肺及び腸管粘膜固有層の原始IL-5産生細胞の細胞表面マーカーはナチュラルヘルパー細胞のそれと類似していた。続いてアレルギー反応を惹起するとされるIL-25とIL-33を投与し、肺・腸管での原始IL-5産生細胞を観察した。IL-25の投与で約2倍、IL-33の投与で約10倍に原始IL-5産生細胞数が増加していた。ナチュラルヘルパー細胞はIL-25への応答性が認められないとされており、サイトカインに対する反応性が異なる可能性を見出した。 (2)メラノーマ細胞の肺転移モデルを用い、原始IL-5産生細胞の抗腫瘍免疫に係わる役割を検討した。 IL-5もしくはIL-5レセプターを欠損したマウスでは、メラノーマ細胞移入後14日目の肺転移が増悪していた。原始IL-5産生細胞はメラノーマ細胞移入後3日目の早期の段階で2~3倍に増加し、その後徐々に減少していった。抗腫瘍効果が知られIL-5に応答する好酸球も同様の応答性を示した。このことからメラノーマ細胞の肺転移後、比較的初期に原始IL-5産生細胞が活性化されIL-5を分泌し、それに好酸球が呼応して集積していると考えられた。この際の原始IL-5産生細胞の活性化にはIL-33が関与している可能性も示した。この新たに証明された抗腫瘍免疫の作用機序は欧米学術誌において報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に沿って研究を遂行し、欧米論文において報告するに至った。しかしながら、時間を要する研究に関しては予定より進行が遅れているため、次年度に効率的に進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究実施計画に変更はなく、研究の準備も順調である。平成24年度において遅れていた研究を進め、平成25年度には完了させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「直接経費次年度使用額」が生じたのは平成24年度に計画していた研究の一部が遅延したためであり、当該助成金は平成25年度に繰り越した研究を行うために使用する。
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Research Products
(10 results)