2013 Fiscal Year Annual Research Report
痛みの脳内表現と疼痛発現・伝達・修飾機序:多細胞同時記録による解明
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24390148
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
村瀬 一之 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40174289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古江 秀昌 生理学研究所, 生体情報研究系, 准教授 (20304884)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脳・神経 / 可視化 / 神経科学 / 共焦点顕微鏡 / 生体生命情報学 |
Research Abstract |
関節炎や癌性疼痛時等に生じる過敏化(痛覚過敏)や持続的な痛み(慢性疼痛)の緩和方法の開発が急務とされている。これらは、痛覚刺激を受け取る末梢の病巣が原因ではなく、その信号を脳へ中継する脊髄や脳内の神経結合あるいは、信号伝達効率の変化(神経可塑性)によって起きるとされている。さて、感覚情報は脳内細胞の発火の時空間パタンによって表現(符号化)されている。確かに、神経可塑性が痛覚過敏などの原因の一つであるとしても、痛覚や痛覚過敏などが脊髄や脳内細胞の発火パタンにどのように表現されているかは全く不明である。そこで本研究の目的は、共焦点レーザー顕微鏡で脊髄細胞や脳細胞個々の発火を多数同時に高速で記録し、痛覚過敏などがどのように表現されているかを明らかにし、また適当な経皮的刺激等による修飾や鎮痛を試みることである。 平成24年度では、① 導入した高速カメラで多数の脊髄後角浅層神経細胞の発火をin vitro で同時記録する技術を確立した。② グリア細胞の活動も同様に記録した。さらに、③ in vivo で大脳から細胞活動を長時間、安定的に記録する技術の開発に目途を付けた。 平成25年度では、①in vitroで計測された発火現象が、神経細胞のものであるのかグリア細胞によるものであるのかについて、種々の手法を用いて検証した。その結果、計測されているのはグリア細胞の一種であるアストロサイトのカルシウム発火であることが判明した。特に、脊髄水平切片ではその表層(後角I~II層)で10個以上の細胞が互いに相関をもって発火することが明らかになった。② in vivo では多細胞を同時記録する技術が確立でき、種々の条件下で発火現象の探索を行った。②前頭前野では痛覚由来と思われる多数の細胞の発火が記録できた。しかしながら、それらの発火がどのような意味を持つのかについては現在までのところ不明確であり、現在、探求中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脊髄および脳表面で、細胞個々の活動を多数同時に記録し解析するという手法については、ほぼ予定通り確立できた。現在、記録された細胞活動がどのような意味を持つのかについて種々の観点から確認する作業を行っている。すなわち、どの応答が生理的に意味があるのか、痛覚と関連しているのか、について神経因性疼痛モデルマウス、種々の神経作動薬や染料などを用いて調べている。早晩、明快な説明に到達できると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
多数の細胞の活動を同時に高解像度で記録するという技術については、ほぼ確立できた。しかしながら、記録された活動が当初予想していたものとは異なっており、未知の領域に直面している。これはすなわち、記録できたもの殆んど全てが新規な発見であり、それを一つ一つ丁寧に解析し論文としてまとめていくことが重要と考えている。新たな数理解析手法の開発に取り組むことも重要であり、それにも重点的に取り組んでいく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度、伝達物質受容体作動薬、細胞内信号伝達遮断薬など、高価な試薬を用いた実験を大規模に行う予定であったが、観測された現象が当初予想したものと異なっていたため、試薬の使用量が予定より若干少なくなった。 次年度に、高価な試薬を用いた実験を継続して行うのでその経費として使用する。
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[Presentation] Endogeneous control of pain transmission2013
Author(s)
Furue H and Imoto K
Organizer
1st CU-NIPS Symposium "Frontier in Physiological Sciences Research: From Basic Research to Diseases and Treatments"
Place of Presentation
Chulalongkorn University (Bangkok, Thailand)
Year and Date
20131021-20131022
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