2012 Fiscal Year Annual Research Report
抑うつ発症における職業性ストレスと遺伝素因・エピゲノムの相互作用
Project/Area Number |
24390160
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
宮木 幸一 独立行政法人国立国際医療研究センター, 医療情報解析研究部・臨床疫学研究室, 室長 (20327498)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 職域 / コホート / 栄養 / ストレス / 葉酸 / うつ / 遺伝子多型 / エピゲノム |
Research Abstract |
研究代表者がリクルートした約二千人(現在2626人)の職域コホートではベースライン時に全例で栄養疫学調査を行い現在4年目の追跡調査を行い、社会経済状況(Socio Economic Status)と健康状態の関連において食習慣が介在しているという作業仮説のもと検討を進めている。ホモシステインを低下させる葉酸の摂取量は性・年齢・各種ストレス指標・社会経済状況で調整したうえでも統計学的に有意に抑うつ度と負の相関が認められ、多重ロジスティック回帰分析では葉酸摂取量が100μg/1000kca1・day増えると抑うつのリスクが約2割統計学的に有意に減少することを明らかにした(BMC Psychiatry 2012)。また教育歴および世帯年収は抑うつ度の独立した予測因子であること、葉酸という栄養摂取状況が教育年数と抑うつの関連を介在する重要な因子であることを明らかにした(Nutrients 2013)ほか、我が国でも社会経済状況によって塩分摂取量や血圧の健康格差が存在することを報告している(Int J Environ Res Public Health 2013)。平成24年度は遺伝子多型解析やDNAメチル化解析に関する追加同意を得て775名のDNAを収集した。これらのサンプルを用いてSNP解析およびエピゲノム解析()を開始した。生活習慣病やメンタルヘルス疾患の発症には多数の遺伝子多型が少しずつ寄与すると同時に、様々な環境要因が影響を与えており、近年はこれらの発症に可塑性のあるエピゲノム状態の違いが関連する可能性が示唆されているため、予防医学への応用可能性を含め検討していきたいと考えており、今年度の成果はこれらの足がかりの一つとなるものと考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題に掲げたゲノムおよびエピゲノム解析に必要なDNAサンプルの同意が当初の目標以上の775名分得られ、これらのDNA抽出まで完了したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
メンタルヘルス疾患の発症には多数の遺伝子多型が少しずつ寄与すると同時に、様々な環境要因が影響を与えており、近年はこれらの発症に可塑性のあるエピゲノム状態の違いが関連する可能性が示唆されているため、予防医学への応用可能性を念頭に検討を進める。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度(平成24年度)に引き続き、初年度内に解析が完了しなかった遺伝子多型タイピングおよびDNAプール作成によるメチル化チップ解析を進めていく。抑うつの評価に開発中の診療支援システムを応用して効率化・標準化を図る。
|
Research Products
(4 results)