2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24390209
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
矢野 聖二 金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (30294672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
衣斐 寛倫 金沢大学, がん進展制御研究所, 助教 (00645145)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 肺がん / 骨転移 / イメージング / ALK阻害薬耐性 / BIM遺伝子多型 / EGFR阻害薬耐性 / mTOR阻害薬 / 個別化医療 |
Research Abstract |
上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)はEGFR遺伝子変異を有する肺癌に著効を示す重要な分子標的薬であるが、EGFR変異を有するにもかかわらず25-30%の症例ではEGFR-TKIが奏効しない(自然耐性)ことや著効例においても獲得耐性を生じ再燃する(獲得耐性)ことが臨床上の大きな問題となっている。我々は、HGFがEGFR-TKI耐性を惹起することを報告しているが、今年度は腎がんや膵原発神経内分泌腫瘍に対し認可されているmTOR阻害薬の耐性克服作用を検討し以下の知見を得た。EGFR変異肺癌細胞において、1)mTORは変異EGFRの下流分子として活性化されていた。2)mTORは耐性誘導因子であるHGFにより活性化されたMet受容体の下流分子としても活性化されていた。3)mTOR阻害薬(エベロリムス)は、変異EGFRの下流およびHGFにより活性化されたMet受容体の下流に存在するmTORの活性を阻害し、細胞増殖を抑制した。4)マウス皮下移植モデルにおいても、mTOR阻害薬はHGFによりEGFR-TKI耐性となったEGFR変異肺がんの増大を有意に抑制した。 以上より、EGFR変異肺がんにおいて、mTOR阻害薬は単剤として使用してもHGFにより惹起されたEGFR-TKI耐性を克服する可能性が示された。 一方、luciferase遺伝子を導入したヒト小細胞肺がんSBC-5をNK細胞除去SCIDマウスに静注することで多発骨転移を含む多臓器転移を発光で検出し定量できるイメージングシステムを確立し、Hsp90阻害薬は肝転移は抑制するが骨転移は抑制できなかったことから、分子標的薬の転移抑制効果に臓器間格差があることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までに確立した骨転移を含む多臓器転移を形成する肺がんを発光で検出できるイメージングモデルを用い、種々の薬剤の分子標的薬耐性の効果を検討しており、おおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度も、多臓器転移のイメージングモデルを用い、転移巣における分子標的薬耐性の分子機構の解明や耐性克服治療の確立のための検討を実施する。
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