2014 Fiscal Year Annual Research Report
TORC及びHDAC制御機構の解明と新規低分子化合物による神経疾患治療法の開発
Project/Area Number |
24390222
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐々木 勉 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (20534879)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 一夫 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (70301257)
長岡 康夫 関西大学, 工学部, 教授 (90243039)
竹森 洋 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, その他部局等, プロジェクトリーダー (90273672)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 脳虚血 / パーキンソン病 / CRTC / SIK(塩誘導性キナーゼ) / HDAC / アポトーシス / CREB |
Outline of Annual Research Achievements |
SIK-CREB-CRTCシグナルについては、現在SIKKOマウス骨髄より、マクロファージを分離培養して、初代神経細胞培養系に加えて、初代マクロファージからのサイトカインレベルの差異の検討を施行している。 独自のHDAC阻害剤ライブリーを作成し、神経疾患の治療への応用を目指して研究を推進。我々は、パーキンソン病モデルマウス(MPTPモデル)の大脳皮質において、HDAC1,2活性が上昇していることを見出すと共に、新規HDAC1,2選択的阻害剤K560が、MPTP毒性に対して、有意な神経細胞死防御効果を発揮することを認めた (現在投稿中)。K560は我々のグループによって独自に創製されたものであり、XIAPの上昇、PUMAの低下を介して、抗アポトーシス作用により神経細胞死を抑制した。 HDACisofrom阻害剤活性の異なる、hydroxamate、carboxylate、2-aminobenzamide、thienyl基置換2-aminobenzamideからなる独自のHDAC阻害剤ライブラリーから、更に有用な薬剤を探索している。TSA,SAHAなどは神経細胞への毒性が強く、HDAC1,2,3を阻害するMS-275も神経疾患モデルマウスにて、長期投与にて毒性を認めた。今回のK560は、HDAC1,2を選択的阻害(HDAC3は阻害しない)薬作用に加え、ペナム系抗生剤の水溶性官能基であるジケトピペラジン基を付与することにより物性の向上とともに、細胞死抑制効果を齎した。K560は通常のHDAC1,2阻害剤とは異なり、アポトーシスを誘発せずに、むしろアポトーシスを抑制して細胞死保護作用を示す。K-560のHDAC1/2阻害作用に加えて、ジケトピペラジン基の存在がこのような効果に重大な影響を及ぼしていると考えている。これらの成果は物質特許、用途特許として出願済みである(特許情報に記載)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
もともとCRTC遺伝子欠損マウス、特にCRTC1flox/floxマウスは共同研究者とともに、本研究課題において、こちらで作成予定で、実際に、ES細胞から作成し、何度も成熟マウスを産ませたものの、CRTC1flox/floxマウスヘテロ欠損マウスは生まれるが、CRTC1flox/floxホモ欠損マウスは、何度もこころみたが、産まれなかった。このため、原因を検討したが、同遺伝子欠損による不妊あるいは、致死的遺伝子周辺にカセットが挿入されたと考えられた。 そのため、研究推進のために、CRTC欠損マウス(CRTC1flox/flox、CRTC2flox/flox)を入手することを検討した。その結果、米国の研究所において、同欠損マウスがいることが分かったため、MTAを交わして、阪大へ移送することをお願いし、同研究所(salk研究所)より承諾を得た。そのため、CRTC欠損マウスを移送することになっていたが、同研究所でも不妊、産まれる個体数が少ないために、大阪大学への資材調達困難となり、予定していた研究計画に遅れを生じた。
|
Strategy for Future Research Activity |
上記のごとく、他の臓器と異なり大脳で高発現しているCRTC1の機能解析が重要であるため、米国の研究所において、同欠損マウスがいることが判明、各CRTCKOマウス並びに、CRTCflox/floxマウスを研究遂行を早めるために早く導入する。既にMTAは米国研究所と交わしており早期にマウスを導入する。 HDAC創薬については、病態に応じてclassⅡHDACsも活性化するが、classⅡHDACs阻害剤の1つであるMC-1568 は、パーキンソン病(PD)モデル、脳虚血モデルの両者において神経保護効果はなかった。他方、選択的HDAC3阻害剤についても、PDモデルでは神経保護効果を認めないが、脳虚血では神経保護を示した。特にHDAC3に関しては、PINK1がHDAC3を活性化しており、このことがHDAC3によるp53依存性アポトーシス抑制に寄与していると報告され、PINK1が遺伝性PD病の原因遺伝子であることを鑑みると、PDではHDAC3は阻害しない方が良いと考えられる。HDAC3はclassⅠHDACsの中でも、HDAC1,2とは異なり、細胞質―核内移行するものであり、今後、HDAC3の選択的阻害剤の開発は、神経疾患の治療を考える上では重要である。これらより、神経疾患の病態に応じて活性化するHDACが異なることが示唆され、現在HDAC3、HDAC4、HDAC9選択的阻害剤も新規合成中である。 神経疾患の治療薬では、脳内移行性が1つの大きな課題であるが、四重極LC-MS/MSにてK560の脳内移行性は確認した。本研究では、有用な薬剤を抽出したが、脳内移行性、水溶性が良くない場合は、創薬化学者に演繹し、官能基などを修飾することにより、脳内移行性、水溶性も高める研究体制が既に整っている。本課題では、臨床医、創薬化学者が一体となり互いの結果を相互共有し、より臨床的な観点に立ち創薬を進める。
|
Causes of Carryover |
もともとCRTC遺伝子欠損マウスは共同研究者とともに、本研究課題において、こちらで作成予定で、実際に、ES細胞から作成し、何度も成熟マウスを産ませたものの、CRTCヘテロ欠損マウスは生まれるが、CRTCホモ欠損マウスは、何度もこころみたが、産まれなかった。このため、原因を検討したが、同遺伝子欠損による不妊あるいは、致死的遺伝子周辺にカセットが挿入されたと考えられた。 そのため、研究推進のために、CRTC欠損マウスを入手することを検討した。その結果、米国の研究所において、同欠損マウスがいることが分かったため、MTAを交わして、阪大へ移送することをお願いし、同研究所(salk研究所)より承諾を得た。そのため、CRTC欠損マウスを移送することになっていたが、同研究所でも不妊、産まれる個体数が少ないために、大阪大学への資材調達困難となり、予定していた研究計画に遅れを生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
米国研究所(Salk研究所)よりの各種CRTCKOマウス、CRTCfloxマウスなどの大阪大学への移送費用、並びに、大阪大学医学部付属動物実験施設に導入するためにマウスをSPF化する必要があり、これらクリーンアップの費用にあてる。またこれらの飼育費並びに、本研究課題推進のための脳虚血モデル作成関係の、消耗品にあてる。
|
Research Products
(12 results)
-
-
-
[Journal Article] Altered Actions of Memantine and NMDA-Induced Currents in a New Grid2-Deleted Mouse Line.2014
Author(s)
Kumagai A, Fujita A, Yokoyama T, Nonobe Y, Hasaba Y, Sasaki T, Itoh Y, Koura M, Suzuki O, Adachi S, Ryo H, Kohara A, Tripathi LP, Sanosaka M, Fukushima T, Takahashi H, Kitagawa K, Nagaoka Y, Kawahara H, Mizuguchi K, Nomura T, Matsuda J, Tabata T, Takemori H.
-
Journal Title
Genes (Basel).
Volume: Dec 11;5(4)
Pages: 1095-114
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-
-
[Presentation] Efficacy and implications of selective class I or II Histone deacetylase inhibitors for ischemic brain injury.2014
Author(s)
Sasaki T, Choong CJ, Watanabe A, Hirata Y, Sanosaka M, Yukami T, Kitagawa K, Takemori H, Uesato S, Mochizuki H.
Organizer
American Neurological Association's 2014 Annual Meeting
Place of Presentation
Baltimore Marriott Waterfront Hotel, Maryland, USA
Year and Date
2014-10-12 – 2014-10-14
Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
-