2012 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質発達障害を基盤とする知的障害・自閉性障害の病態メカニズムの解明
Project/Area Number |
24390271
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Section | 一般 |
Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
永田 浩一 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 神経制御学部, 部長 (50252143)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山形 崇倫 自治医科大学, 医学部, 教授 (00239857)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 知的障害 / 自閉性障害 / 神経細胞 / 大脳皮質 / セプチン |
Research Abstract |
知的障害や自閉性障害の背景には発達期における大脳皮質の構造・機能障害が想定されるが、実際に分子レベルで病態機構の解明に至った例は非常に少ない。私共は当該年度に、知的障害を伴う疾患(Marinesco-Sjogren症候群;MS症候群)の原因遺伝子SIL1、および、知的障害・自閉性障害の病態と関連する分子であるLin7の病態形成メカニズムを分子レベルで解析した。実験手法としては、私共が独自に構築した共焦点顕微鏡ライブイメージ解析システムと子宮内胎仔脳遺伝子導入法を活用した。 SIL1の解析については、その機能異常が、1)神経細胞の形態異常を引き起こし、2)その結果として細胞運動障害が起こり、3)さらに軸索の伸長障害も引き起こすこと、を明らかにした。これらの異常の結果、最終的に大脳皮質形成障害が生じて知的障害の原因となる可能性が示された。また、自閉性障害と知的障害の臨床検体を用いた遺伝子多型解析により、細胞極性関連蛋白質Lin7の遺伝子レベルでの異常がこれらの病態に関与する可能性を見出した。そこで、SIL1の解析と同様に共焦点顕微鏡ライブイメージ解析システムと子宮内胎仔脳遺伝子導入法を用いた解析を遂行した。その結果、発生期の大脳皮質神経細胞においてLin7の発現を抑制すると、神経細胞の移動障害が認められた。したがって、Lin7は、大脳皮質発達期の神経細胞の局在化に重要な役割を果たし、その機能障害が大脳皮質形成障害を引き起こし、自閉性障害や知的障害の原因となることを示唆する。 セプチンの研究については、ノックアウトマウスを用いた包括的解析(生化学、形態学、行動解析)を遂行中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
知的障害と自閉性障害の病態関連分子の解析が順調に進んでいるから。また、セプチンのノックアウトマウスを用いた実験も計画どうりに進んでいるから。
|
Strategy for Future Research Activity |
SIL1の研究成果は得られているので学術論文として発表する。Lin7の研究もさらに実験データを追加して論文作成を行う。セプチンの研究も計画に沿って遂行する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
旅費の使用額が予想よりも少なかったために直接経費次年度使用額が生じた。この額は翌年度の物品購入費に充当する。
|