2014 Fiscal Year Annual Research Report
癌特異的膜乳化エマルションの肝動脈注入を用いた中性子捕捉療法の開発
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24390311
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳衛 宏宣 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (30212278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 浩之 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70216753)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 中性子捕捉療法 / ボロン化合物 / BSH / 二段膜乳化法 / WOWエマルション / BPA / ターゲティング |
Outline of Annual Research Achievements |
新生血管に富む原発性肝臓癌等の難治性癌に対して、中性子捕捉療法を応用すべく、腫瘍選択性を高めた癌特異的膜乳化エマルションを開発することを目標にしている。 WOWエマルションによる一次ターゲティング後に、癌選択的ボロン化合物を用いた二次ターゲティングを目指すことが、より効果的な癌細胞選択的ボロン送達を達成できると考えられた。二次ターゲティングを行うにあたり、本年度は、腫瘍選択性のある化合物のひとつとしてボロン原子を結合したエストロゲン化合物を用い、腫瘍血管に富んだ乳癌の転移性肝腫瘍に対しての反応性を検討した。Naturalボロンが結合したエストロゲン化合物を用いた京都大学原子炉実験所における熱中性子照射の反応では、10BPAとの反応よりは弱いものの細胞障害効果を認めた。このため、Enrichedボロンを結合させたエストロゲン化合物の合成を進めることが必要と考えられた。また、疎水性界面活性剤としてHCO40を用いることにより10BSH封入WOWエマルションを作成し、肝動注後の脂肪染色を行った。VX-2腫瘍の高血管性により投与3日には正常肝組織と比較して優位の染色性を認めた。即ちボロン化合物を腫瘍内に送達可能であることを示せた。VX-2ウサギ肝腫瘍モデルに対して、10BSH封入WOWエマルションを肝動注後に京都大学原子炉実験所において熱中性子照射を実施し、組織レベルでの細胞障害効果を確認できた。 WOWエマルションの一次ターゲティング送達能力を考えると、WOWエマルションの表面修飾を行うよりも、二次ターゲティングに用いる化合物の合成がより優位性を持つということが判明し、ボロノフェニルアラニン(10BPA)、ボロン結合細胞内アッセンブリー化合物、ボロン結合エストロゲン化合物、等の開発を進めることが、肝動注を用いた中性子捕捉療法の治療効果を増強させる可能性が出てくると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
中性子捕捉能の高いボロン化合物(BSH)を封入してWOWエマルションを作成し、肝動注後に京都大学原子炉実験所において熱中性子照射を行い、肝腫瘍の組織学的な障害を確認できた。より効果的な中性子捕捉反応を励起するために、細胞選択的な二次ターゲティング新規ボロン化合物を合成させるべく、分子設計を実施中である。種々の二次ターゲティング新規ボロン化合物をWOWエマルションにより送達することにより効果的な難治性肝腫瘍に対する中性子捕捉療法が施行できる可能性が出てくると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞選択的な二次ターゲティング新規ボロン化合物を合成させるべく、分子設計を実施中であり、Enricheedボロンを調達し化合物を完成させたい。この化合物を合成しWOWエマルションに封入し、ウサギ肝腫瘍モデルに肝動注を行い、ICP-Masを用いて、腫瘍内ボロン濃度を測定しデリバリー能を検討する。さらに熱中性子照射を行い、腫増殖抑制瘍効果を確認する。
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Causes of Carryover |
WOWエマルションの一次ターゲティング送達能力を考えると、WOWエマルションの表面修飾を行うよりも、二次ターゲティングに用いる化合物の合成がより優位性を持つということが判明し、アミノ酸トランスポーターによる腫瘍集積性を有するボロノフェニルアラニン(10BPA)、ボロン結合細胞内アッセンブリー化合物、ボロン結合エストロゲン化合物、等の開発を進めることが、腫瘍血管に富んだ肝臓腫瘍に対しての肝動注を用いた中性子捕捉療法の治療効果を増強させ、DDSの応用展開が拡大される可能性が出てくると考えられた。細胞選択的な二次ターゲティング新規ボロン化合物の分子設計を進め、Enricheedボロンを調達し化合物を合成し、デリバリー能を検討するために来年度も研究費を使用する必要が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
細胞選択的な二次ターゲティング新規ボロン化合物の分子設計を進め、Enricheedボロンを調達し化合物を合成する。この化合物を合成しWOWエマルションに封入し、ウサギ肝腫瘍モデルに肝動注を行い、ICP-Masを用いて、腫瘍内ボロン濃度を測定しデリバリー能を検討する。さらに熱中性子照射を行い、腫増殖抑制瘍効果を確認する。
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