2012 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌浸潤を先導するリーディングセルの解明:第3の浸潤機構に基づく癌治療の新展開
Project/Area Number |
24390318
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 雅夫 九州大学, 医学研究院, 教授 (30163570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 英司 九州大学, 医学研究院, 准教授 (30264021)
大塚 隆生 九州大学, 大学病院, 助教 (20372766)
冨永 洋平 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (90304823)
大内田 研宙 九州大学, 先端医療イノベーションセンター, 講師 (20452708)
白羽根 健吾 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (10529803)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 膵癌 / 浸潤 / 上皮間葉転換 / コラーゲン |
Research Abstract |
膵癌細胞の浸潤機構として、膵癌細胞が細胞外で蛋白分解酵素を放出して細胞外マトリックスを分解するだけでなく、細胞外マトリックスの一つであるコラーゲンを細胞内に内在化させることも関与しているという新しい知見を、蛍光標識コラーゲンを使用した実験系で明らかにした。また、線維芽細胞がコラーゲンを内在化させることは知られているが、我々の検討では膵の線維化を主体となって制御している膵星細胞においてもコラーゲンを内在化させることを認めた。膵癌のコラーゲンの内在化には、従来より判明していた線維芽細胞でコラーゲン結合膜受容体であるEndo180が関わっているという知見と同様、膵癌細胞においてもEndo180が関わっていることを明らかとした。また、この膵癌細胞の中でも紡錘形の間葉系細胞に近い形態をもった細胞にコラーゲン内在化が強く認められる傾向にあること、膵癌細胞がTGF-β1の投与で上皮間葉転換により、間葉系細胞の形質を獲得する(E-カドヘリン発現の減少、ビメンチン発現の上昇)とコラーゲン内在化膵癌細胞が増加することが明らかになった。上皮間葉転換で膵癌細胞の浸潤能が増すことは広く知られているが、今回リボ核酸干渉によるコラーゲン結合膜受容体であるEndo180の発現抑制が、膵癌細胞の浸潤能を抑制することを明らかにした。 以上のように、コラーゲン結合膜蛋白であるEndo180を介したコラーゲンの細胞内内在化は、上皮間葉転換によって増強されるとういう新しい浸潤機構が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コラーゲンを細胞内に内在化する基質クリアランス作用は、上皮間葉転換を引き起こした膵癌細胞で強く認められることを明らかにした。しかし、膵癌細胞の上皮間葉転換を主導・先導する膵星細胞や、浸潤を先導する癌細胞の同定には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
膵癌細胞の上皮間葉転換を誘導する膵星細胞の分泌因子を網羅的遺伝子解析にて明らかにする。また、膵癌細胞と膵星細胞の浸潤における相互作用や、浸潤を先導する細胞の同定を三次元共培養モデルで明らかにする。同定された上皮間葉転換誘導因子を抑制もしくは強発現させ、浸潤に及ぼす影響を、特にコラーゲン細胞内内在化といった基質クリアランスに注目して解析す〓〓最終的には、マウスでの膵癌細胞と膵星細胞の共移植実験により、癌間質相互作用と上皮間葉転換、及び某質クリアランス作用に及ぼす影響を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
アレイ用チップ90万円、実験用キット類200万円、試薬類180万円、実験用ガラス器具類120万円研究成果発表(国内)交通費12万円、宿泊費8万円 研究成果発表(外国)交通費10万円、宿泊費10万円、実験補助10万円、学会投稿料20万円
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Research Products
(2 results)