2012 Fiscal Year Annual Research Report
皮質電位と脳機能画像標準化によるヒト機能テンプレート作成と信号解読
Project/Area Number |
24390337
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 一般 |
Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
鎌田 恭輔 旭川医科大学, 医学部, 教授 (80372374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川合 謙介 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (70260924)
竹内 文也 北海道大学, その他の研究科, 准教授 (30281835)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 言語機能 / 脳皮質電位 / 記憶機能 / 覚醒下手術 |
Research Abstract |
ヒト脳機能解読に頭蓋内電極から得られる認知関連機能脳表電位(ECoG)は、最も髙い信号/雑音(S/N)比を有するため注目を集めている。本申請では複数の言語、記憶課題を組み合わせて、認知ECoGを検討し、言語・記憶ネットワークを解明する。さらに計測症例のECoGを標準脳変換することで脳全体を広範囲、かつ高密度に電極で覆うことが可能となる (標準化ECoG)。本法により言語・記憶などの複雑な脳機能の典型ダイナミクスが明らかとなる。この解読結果を出力系デバイスと融合してリアルタイム処理Brain-machine interface (BMI)開発を目指す。またECoG周波数等の変化を同様の課題機能MRI(fMRI)とTractographyを個人・標準脳間で比較することで、fMRIの生理学的意味、臨床応用へのフィードバック、脳内ネットワークの解釈、適切なBMI用硬膜下電極位置、数を決定することができる。BMIによる出力目標は、意志疎通のための文字提示、音声提示法の確立とする。標準化した認知ECoGのテンプレートを課題毎に作成する。課題は1、単純なストライプ視覚認知、2、単純図形認知, 3, ひらがな一文字;音読、3, 黙読、4,1音節(文字)想起を基礎実験とする。 いずれもわずかなECoG反応変化を捉えるため、前述した機能テンプレートを用いることで解読精度の向上が期待できる。 一台のコンピュータから直接視覚、聴覚刺激提示、およびデータ保存、解析を行う。コンピュータの高速化によりリアルタイムに脳皮質電位の周波数解析、抽出、表示を可能とした。これにより従来の電気刺激を行わずにベッドサイドでヒト運動・言語・記憶機能を抽出することに成功した。さらに本システムを手術室内に持ち込み、覚醒下手術に応用した。覚醒下の患者脳表面に留置した硬膜下電極から脳皮質電位を計測することができた。また、リアルタイム周波数解析により、覚醒下手術における脳機能マッピングができることが検証できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
提案時の目的であった刺激-脳皮質電位計測システムのは確立した。また、高速なデータ処理ソフトを開発することで、ベッドサイドにおける脳機能マッピング、さらに覚醒下手術における脳機能マッピングにも応用することができた。同時に機能MRI装置もリアルタイムデータ収集と解析を可能とした。また、30症例の硬膜下電極データを標準脳変換すること方法を開発して、発語、文字読み、図形認知、手指運動などの機能テンプレートを作成した。リアルタイムマッピングは確立したが、次に脳信号の読み取りが課題となっている。脳信号読み取りには、Support Vector Machineに代表される様々な関数を応用するが、視覚認知に関する判別は80%程度である。この判別程度向上に特徴量抽出のために機能テンプレートを応用する必要がある。また、コミュニケーションに応用する認知活動を捉えるためには自活活動のデコーディングが必要となる。これには機能MRIによる事前検査が必要である。現在症例、健常成人による実感を行っている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後研究には、まず従来の硬膜下電極よりも小径、高密度電極による詳細は計測が必要である。このため従来の半分の直径、電極間距離、高密度の電極を作成した。また豊橋技術大学と協力して、薄膜型高密度電極を作成中である。本電極はその製造過程を含め、本大学倫理委員会での使用がすでに認可されている。意志想起への藩閥はATRの神谷らの開発したSparse logistic regression法が適している可能性がある。本方法を共同研究により本提案に応用する。さらに運動関連BMIには2つの課題を明らかにした。1,運動課題時の動きのモニタリング。これはhand motion capture装置を脳皮質電位計測プログラムに取り込む予定である。2,プログラミングされたヒューマノイドの応用。産総研知能システム研究部門のDr. A Kheddarと共同でコンピュータビジョン、自動制御装置が付いたヒューマノイドと脳皮質電位によるコントロールを目指す。本来は被験者の意志ですべてのコントロールを行っていたが、プログラミングを含めたハードウエアのサポートも重要になると期待できる。さらにリアルタイムにフィードバックすることで被験者脳機能のシステムへの適応も期待することができある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
脳皮質電位計測には予想以上に大きい直流ノイズが混入し、そのため200チャンネル以上に対応できるノイズ除去フィルター作成が必要となったが、担当する研究協力者が不慮の事故によりH25年1月から3月中旬まで入院するため開発の遅延があった。 ノイズ除去フィルターが完成することにより、従来の計画に沿って脳皮質電位を計測し、その計測データをもとにデータ処理、判別関数の開発を同時に行う。
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Research Products
(42 results)