2013 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠時呼吸障害患者の適切な周術期気道管理・呼吸管理に関する研究
Project/Area Number |
24390363
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
磯野 史朗 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80212968)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 上気道閉塞 / 呼吸 / モニター / 術後呼吸合併症 / 咽頭 / 鼻内圧 |
Research Abstract |
本研究の目的は、睡眠時呼吸障害合併患者において、最も呼吸合併症が頻発する手術終了時や術後24時間以内の安全な気道管理・呼吸管理方法を確立することである。特に、鼻内圧測定の術後呼吸モニターとしての有効性を検討し、臨床使用可能な呼吸モニター完成を目指す。初年度に引き続き、平成25年度は、特に鼻内圧波形を詳細に検討し、どのような波形解析アルゴリズムが呼吸異常パターンを正確に評価できるかどうかの検討を行った。睡眠時呼吸障害を合併する患者から得られた鼻内圧波形を用いて、無呼吸や低呼吸の診断ばかりでなく、中枢性か閉塞性かの診断も多くの場合判別可能なアルゴリズム作成に成功した。このアルゴリズムの一部は、国内外で特許申請された。さらに、顎下部陰圧負荷の咽頭気道開通性に与える影響についても研究し、新しい術後気道管理方法としての有用性を検討した。全身麻酔下筋弛緩状態の肥満患者10名、非肥満患者10名において、顎下部陰圧(-25cmH2O -50cmH2O)負荷の有無で咽頭閉塞性比較した。非肥満患者においては、顎下部陰圧負荷で咽頭気道開通性が改善し、術後気道管理にも臨床応用可能であることが示唆される結果であった。また、この研究で、フックの原理が咽頭気道開通性変化を説明する有用な物理学的法則であることが示された。本研究結果は、海外学会において発表するとともに、英文誌への論文投稿も行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交付申請書に記載した平成25年度の研究目標は、術後患者の呼吸パターンを鼻内圧測定により評価することである。鼻内圧波形には予想した以上に多くの呼吸パターンに関する情報が含まれ、さらに詳細に検討することでより精度の高い呼吸モニター開発にも繋がる可能性が見えたため、予定した術後患者での研究を開始せず、アルゴリズムの完成により研究の焦点を当てることとした。当初の研究計画とは異なるが、より大きな成果の期待できる研究を進めることに成功していると自己評価する。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は、前年までに作成した鼻内圧による呼吸パターン分析アルゴリズムの正確性と、その臨床における有用性や限界を科学的に検証する。研究1においては、睡眠中の成人(睡眠時無呼吸患者と健常ボランティア)において鼻内圧測定と食道内圧測定を行い、我々の開発した呼吸パターン分析アルゴリズムの正確性と有効性を科学的に評価する。研究2においては、実際の術後患者あるいは鎮静下の患者において鼻内圧測定で、術後呼吸パターンの変化を評価する、研究3においては、術後気道管理に有効と考えられる治療により術後呼吸異常が改善するかどうかを評価する。得られた研究結果は、日本麻酔科学会、日本睡眠学会、アメリカ麻酔科学会などで発表するとともに英文学術誌に投稿する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
作成したフローリミテーション判断アルゴリズムの精度を検証することを優先させたため、当初予定していた術後の呼吸状態評価の研究が次年度に実行することとなった。そのため、研究実施のため購入予定した機器の購入をしなかった。 次年度に、術後呼吸状態評価の研究を遂行するため、昨年度予定していた機器の購入を行う。
|
Research Products
(5 results)