2012 Fiscal Year Annual Research Report
新規の抗癌免疫活性化タンパク質による革新的前立腺癌治療法の確立
Project/Area Number |
24390368
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
那須 保友 岡山大学, 大学病院, 教授 (20237572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
賀来 春紀 岡山大学, 大学病院, 講師 (60346426)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | タンパク質 / がん / 免疫学 / REIC/Dkk-3 / サイトカイン |
Research Abstract |
我々は、REIC/Dkk-3タンパクそのものが特定の末梢血免疫細胞を樹状細胞様細胞に分化させ、抗腫瘍効果を発揮するというサイトカイン様作用を有することを新たに発見した(lnt J. Oncology 2009 Mar;34(3):657-63,特許出願2008-086516)。本申請研究では、REIC/Dkk-3タンパク質の有するこの新たな抗腫瘍効果発現の機序ならびにサイトカインとしての機能の詳細をあわせて解明し、前立腺癌における新規タンパク治療の開発を含めたその臨床的な意義を明らかにすることを目的としている。平成24年度は以下の項目について研究を行い所定の実績を得た。 1)サイトカインとしての作用機序の解明: 正常細胞(血管内皮細胞、上皮細胞、間質細胞)へのREICタンパク質の作用を確認した。特に増殖への影響、殺細胞効果は認められなかった。このことは臨床応用の際の安全性担保における重要な知見である。 2)臨床的意義の解析:治療効果と安全性の評価と検証: マウス前立腺癌RM9細胞のマウス皮下腫瘍モデルを用いた投与実験を行った。まずは安全性についてその評価と検証を行ったが、治療群においては明らかな異常は認められなかった。さらに種々の免疫学的解析を行った。特に、特定の腫瘍抗原に対して特異的なCTLの存在を確認することができた。このことは本治療法の全身ワクチン化効果を科学的に証明する重要な知見であり、安全性も含めて人への応用の根拠となる。 3)17kDa REIC/Dkk-3タンパクの大量生成系の確立: 293細胞ならびに大腸菌を用いて生成したタンパクについて構造的(タンパク質重量と糖鎖付加の多寡)および機能的(STATシグナルの活性化、単球からの樹状様細胞の誘導能)に比較し、差異の無いことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
列挙した三つの研究項目については、研究立案時点で想定(仮定)した所定の成果を得ており、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、現在の体制で研究を継続していく。また、内外の知見に関する情報収集を行い当該研究に資することとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の研究費において、各種細胞・試薬の購入に費やされたが、945,545円の差額が生じた。次年度においては、各種試薬・化合物、各種細胞ならびに細胞培養に必要な試薬、各種抗体など、実験における試薬の使用が本年度に比して増加しており、差額が生じた本年度の研究費に次年度の研究費を加えて使用する。また、本年度の研究を引き続き継続するとともに、新たな項目としてノックアウトマウスの本格的解析に着手する。
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Research Products
(4 results)