2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規自己免疫性難聴モデルマウスの解析による革新的な感音難聴治療法の探索
Project/Area Number |
24390390
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小川 郁 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00169179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤岡 正人 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (70398626)
神崎 晶 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50286556)
原田 竜彦 慶應義塾大学, 医学部, 客員講師 (60238186)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 耳科学 / トランスレーショナルリサーチ / 自己免疫 / 難聴 / 免疫学 |
Research Abstract |
当研究では自己免疫による内耳性難聴の発症について、自己免疫の本体である免疫寛容の破綻に研究の焦点を当て、発生工学を駆使してマウスモデルで解析する。これにより自己免疫発動と感音難聴の因果関係をprospective に免疫学的手法で直接証明し、ひいては病態生理の詳細な解析を通して新規治療標的や治療薬候補の探索を目指す。以下に当該年度の研究成果を記す。 1、齧歯類用OAE(耳音響反射)測定機器の整備 これまでにハーバード大Liberman博士の指導の下、同研究室で実績のあるEPL Acoustic System Assemblyの測定プローブを慶大内で作成していた。本年度は電気回路含めたハード面の完成に続いて、自動キャリブレーションなどを含めたプログラムを構築し、実際に齧歯類での測定が可能となった。 2、直接交配による慢性自己免疫性内耳傷害モデルの長期予後検討 Nを増やしCD8陽性T細胞による局所免疫破綻(CL4; Math-HA)とCD4陽性T細胞による局所免疫破綻(6.5TCR; Math-HA)の聴力を1年に渡って解析した。その結果(1)CD4陽性T細胞による自己免疫性難聴のほうが発症が早く、(2)難聴は一側性・片側性の低音障害型難聴の反復を経て、高音漸減型の恒久性難聴へ移行していく、(3)他方CD8陽性T細胞による難聴では変動性難聴は観察されず、高音漸減型の進行性難聴を呈していた。これらの表現形は予想外であり、臨床的にも基礎的にも興味深い。 3、病態生理解明を目的として、経時的に各種マウスからサンプルを採取している。来年度以降はこれらの組織学的解析と網羅的遺伝子発現解析を通して、新規バイオマーカー探索や治療標的同定を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Nを増やしての長期評価により、CD4陽性細胞による内耳有毛細胞への局所免疫の破綻は一側性・片側性の低音障害型難聴の反復を経て、高音漸減型の恒久性難聴へ移行していくことが判明した。この表現形は予想外であり、臨床的にも基礎的にも興味深い。 OAE含め機器の整備が整いつつあり、新規知見と合わせて、来年度には飛躍的な発展が想定される。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、局所寛容破綻モデル、急性自己免疫モデル双方について表現形を検討する。昨年までで機能評価から現象論の記載がある程度済んでいるので、本年度はその病態生理に注目し、新規バイオマーカー探索や治療標的同定を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
網羅的遺伝子解析の委託実験用に予算を用意していたが、サンプル採取が揃わずに来年度に実験が持ち越しとなった。 未使用学と次年度研究費を合わせて、サンプルが集まった時点で委託研究ベースでマイクロアレイ解析を行う。
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