2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24390396
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
坂本 泰二 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10235179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 征郎 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 特任教授 (20082282)
橋口 照人 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70250917)
高尾 尊身 鹿児島大学, 医用ミニブタ・先端医療開発研究センター, 教授 (80171411)
小戝 健一郎 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90258418)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 硝子体 / デグラドーム / 糖尿病網膜症 / 網膜剥離 / 加齢黄斑変性 |
Research Abstract |
当該年度は、以下のことを中心に研究した。研究目的にあるように、眼科各種疾患におけるデグラドーム関連蛋白の測定を行った。まず、HMGB-1についは、眼内炎において、極めて高い値を示した。次に網膜剥離、増殖糖尿病網膜症などが高値であった。しかし、網膜剥離の最終段階である、増殖硝子体網膜症においてはむしろ定値を示した。このことは、細胞破壊によるデグラドームの消長と矛盾がない。一方、もう一つのデグラドームの一つであるhisotne H3は予備実験段階であるが、同じように網膜剥離眼硝子体中で高値を示し、黄斑円孔、網膜前膜、糖尿病黄斑症では定値であった。ただし、活動性の高い網膜剥離眼でも定値を示すものがあったため、histoneと硝子体主成分のヒアルロン酸を混ぜた所、直ちに沈澱を作った。つまり、陽性荷電のhistoneは陰性荷電を示す細胞外基質と電気的に結合するために、ELISAで検出できない可能性がある。そこで、その点を改良するためにヒアルロニダーゼを用いたELISAシステム開発を試みた。その結果、ヒアルロニダーゼ4時間処理後に、活性を止めて、ELISAを行うと、HMGB-1と同じ程度の、検出力を取り戻すことが分かった。その方法を用いて、再度計測を行った所、網膜剥離では全ての症例において、histone蛋白量が高値を示すことがわかった。 次に、この蛋白が細胞にどのような影響を及ぼすかを、R28細胞を用いて検討した。その結果、低用量ではほとんど影響がないが、高容量になると、細胞毒性を示すことがわかった。つまり、histoneは細胞崩壊産物であり、好中球による殺菌作用の主体であるが、生体にも有害である。その作用から防御しているのが、細胞外マトリクスであることが示唆された。次年度は、この作用をひとつひとつ検証していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は細胞崩壊産物デグラドームが、疾患形成あるいは生体反応におよぼす影響について検討することを目的として研究を開始した。臨床検体の多数の解析により、HMGB-1および核酸崩壊産物ヒストンが、網膜剥離眼内に増加していることを発見した。その定量方法が確立されていなかったが、その原因が硝子体自身が陽性荷電物質と電気的に強い結合をすることであると見出して、問題を解決して、再現性の高い定量システムを構築した。現在この方法を用いて、定量を進めている。また、この情報を生かして、培養細胞などで効果の詳細研究を進めている。 その一部は、論文化されているが、随時投稿を進めている。 Kawano, et al. Histones and ocular diseases. Am J Pathology (submitted). Terasaki, et al. TNF and polarization. Plos One (under review)
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通りにデグラドーム研究の対象物質が絞れたので、その点について追及して行く予定である。
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Research Products
(4 results)