2013 Fiscal Year Annual Research Report
水素量低減DLCを応用したインプラント周囲骨リモデリングの制御
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24390434
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
二川 浩樹 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 教授 (10228140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田地 豪 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 講師 (80284214)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | DLC / インプラント / 骨リモデリング / 破骨細胞 / 骨芽細胞 |
Research Abstract |
平成25年度は、平成24年度に得られた、水素量低減DLC成膜処理を施したJIS2種チタンが、マウス破骨細胞様細胞株であるRAW264.7細胞およびマウス骨芽細胞様細胞株であるMC3T3-E1細胞の分化に与える影響について、さらなる詳細な検討を行い、その有用性についてエビデンスを集積した。まず、水素量低減DLC成膜処理を施したJIS2種チタン上にて、可溶性RANKL存在下でRAW264.7細胞を培養した。その結果、どの水素量の水素量低減DLC成膜処理を施したJIS2種チタンにおいても、破骨細胞分化に必須のマスターレギュレーターであるNFATc1タンパクの発現および破骨細胞分化マーカーの発現が、未処理JIS2種チタン上に比較して抑制された。このことから、破骨細胞の分化に対してはどの水素量においても高品質DLC成膜の有用性が一定に保たれることが示唆された。次に、水素量低減DLC成膜処理を施したJIS2種チタン上にてMC3T3-E1細胞を培養した。その結果、特定の水素量において、骨芽細胞分化マーカーの上昇が認められた。よって、骨芽細胞の分化においては有効な水素量が存在する可能性が示唆された。今後、さらにエビデンスの蓄積を行う予定である。 また、IL-1のファミリーサイトカインであるIL-33のRANKL発現への関与についても検討を行った。MC3T3-E1細胞の分化誘導において、IL-33の刺激により、RANKL mRNAおよびRANKLタンパクの発現が有意に促進した。さらに、IL-33誘導性RANKLの発現に関与するMAPKシグナル経路を探索した。IL-33の刺激によりリン酸化が認められたERK、p38、JNK経路のうち、ERK、p38経路を抑制するとRANKL mRNAの発現が有意に抑制された。これらの結果から、骨芽細胞様細胞株MC3T3-E1細胞のRANKLの発現は、IL-33によって誘導されERK、p38経路を介すことが示唆された。これらの結果は、骨のリモデリング制御に非常に重要な知見であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の検討事項であった、水素量低減DLCコーティングチタンがインプラント周囲の骨リモデリングに与える影響について精査した。この成果は、平成26年度の研究内容に繋がる知見であり、引き続き検討を加える予定である。以上の理由から、平成25年度についてはおおむね計画通りに研究が進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに検討した骨芽細胞や破骨細胞の分化に与える影響の詳細なメカニズムを明らかにするため、DNAマイクロアレイ等の詳細な検討を行い、エビデンスの蓄積を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
学会発表、情報収集等の出張を予定していたが、諸事情により行けなくなったため。 今年度は学会発表を積極的に行いながら、さらにエビデンスを集積する。
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Research Products
(2 results)