2013 Fiscal Year Annual Research Report
看護職のHealthy Work Environment特性の解明と管理者支援
Project/Area Number |
24390476
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
緒方 泰子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 教授 (60361416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 幸子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (20286371)
勝山 貴美子 横浜市立大学, 医学部, 教授 (10324419)
菅田 勝也 藍野大学, 医療保健学部, 教授 (20143422)
永野 みどり 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (40256376)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 看護管理学 / 病院看護 / マグネットホスピタル / Healthy Work Environment / 人的資源管理 / 管理者育成 |
Research Abstract |
本研究では、働き続けたいと希望している看護職が、健康的にできるだけ長く就業継続できるようなHealthy Work Environment(HWE※)の創出に向けて、HWEの特性を明らかにすること、HWE創出に必要な看護管理者の役割を明らかにし新たなリーダー育成プログラムの枠組を示すことを目的としている(※HWEには、勤務時間等の労働条件のみならず、心理社会的因子を含む)。平成25年度は以下により成果を得た。 (1)平成24年度のパイロットテスト対象者のうち、個別インタビューへの協力意思を示した看護職に対して、インタビュー調査を行い、HWEの特性や看護管理者の役割等に関する情報を得た。 (2)学会における、シンポジウムでの講演、例会・シンポジウム・インフォメーションエクスチェンジの企画と実施により、本研究やHWEに関する情報を発信し、看護現場の実態や看護職によるHWEへの関心について情報収集を行った。 (3)縦断研究の実施:①研究班によるHWE勉強会を複数回開催し、先行研究や欧米におけるHWEの概念や位置づけ等について検討した。;②研究班での複数回の協議を経て、縦断研究に用いる質問紙を完成させた。;③中核市・政令指定都市・特別区に位置する一般病床数200床以上の525病院(大学病院を除く)のうち、協力意思を示した8病院の看護職を対象に、無記名自記式質問紙調査(ベースライン調査)を行った。 (1)(2)より、今後の調査を行う上で活用可能な意義ある知見が得られた。(3)については、調査協力者をコホートとして次年度も調査を継続し、退職行動との関連からHWEの特性を明らかにして行くと同時に、調査協力者数を増やすための追加調査を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、【PartI】病院と訪問看護ステーションの看護職を対象とした前向きコホート研究(縦断研究)の実施、【PartII】看護管理者育成に関する実態調査・インタビューを予定していた。予算制約上、対象を病院に絞ったものの、【PartI】としてベースライン調査を実施し、【PartII】として、パイロットテストの対象者ではあるが、Healthy Work Environment (HWE)に関する職場の状況等について、看護管理者を含む看護職に対してインタビューを行うことができた。 【PartI】【PartII】の準備段階として、予定していた以下2点を実施できた:①研究協力者確保に向けて、学会でのシンポジウムや例会での講演、本研究の研究班メンバーを主体としたシンポジウムの企画と実施を通じて、看護職集団におけるHWEへの関心を高める取り組みができた。;②研究班を主体としたHWE勉強会を計6回開催し、最終的にはコホート研究で用いる質問紙を開発できた。 HWE勉強会の後に質問紙が完成し、倫理審査委員会での審議を経た上で調査を開始したため、調査開始が予定よりも少し遅れたが、【PartI】で予定していたベースライン調査は行うことができた。フォローアップ調査1の内容(年度末に予定していた看護職の健康状態、退職行動に関する調査)のうち、健康状態については平成26年度のフォローアップ調査に含める予定であり(協力者の負担軽減のため)、退職行動については、平成25年度末の情報について、協力病院に調査中である。 成果の発信として平成25年度は、平成24年度に行ったパイロットテストや北米のHWEに関するインタビューの結果を学会で発表し、ベースライン調査にもとづく分析結果は平成26年度の学会で発表するため、既に演題登録を行っている。 以上より、全体として、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究対象の修正:本研究の対象として、病院と訪問看護ステーションの看護職を計画していたが、予算制約上、病院看護職に対象を絞って研究を継続する。 コホートの規模の確保:平成26年度は、平成25年度の調査協力者をコホートとしたフォローアップ調査を行う予定であるが、平成25年度は調査協力病院数が少なく、対象となる看護職の人数が計画を大幅に下回った。そのため、平成26年度は、コホートの規模を一定以上にするため、協力病院数を増やして、(フォローアップ調査と平行して)ベースライン調査も行う。具体的には、平成25年度の協力病院を除く、特例市・中核市・政令指定都市・特別区に位置する一般病床数200床以上の病院(大学病院を除く)に、調査協力意思確認の事前調査を行い、協力病院数を増やす。 看護管理者育成に関する調査における修正:上記調査と平行して、別途、看護管理者育成に関する郵送調査を行うことは、予算的・時間的な制約があり困難であるため、ベースライン調査およびフォローアップ調査の際に、施設に関する調査票中で、看護管理者支援・育成に関する組織的取り組みに関する内容を含めて調査を行うこととする。また、看護管理者へのインタビューについては、平成25年度にインタビュー調査への協力意思を示した看護管理者に、管理者育成への組織的取り組みについて尋ねることも視野に入れる。 研究協力病院を増やすため、また現場でのHWEに関する課題を知るため、平成26年度も、学会におけるインフォメーションエクスチェンジ等を企画・実施する。パイロットスタディや平成25年度のベースライン調査にもとづき論文を執筆し発信する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では、前向きコホート研究を行うため、当初、ベースライン調査の対象看護職数2万人程度(うち30%が回答すると想定)を目指していたが、中核市・政令指定都市・特別区に位置する一般病床数200床以上の525病院(大学病院を除く)のうち、協力意思を示した病院は8病院のみであり、質問紙に回答した看護職数は1,000人程度と少なかった。調査協力者数が予定数を大幅に下回ったことにより、次年度使用額が生じた。訪問看護ステーションを対象にしなかったのは、病院看護職2万人分の調査費用を確保するためであり、次年度使用額が生じた最大の理由は、協力病院数が予定よりも少なかったことであると考えている。 平成26年度は、当初の計画通り、平成25年度の調査協力者に対してフォローアップ調査を行うと同時に、平成25年度の調査協力者数が計画よりも少なかったことから、平成26年度は、再度、調査協力病院を募り調査対象となる看護職の人数を増やすための調査(ベースライン調査)を行う必要がある。協力病院数としては、平成25年度の3~5倍程度を目指す。そのため、平成26年度の配分額以上の費用が生じることが予測され、次年度使用額を平成26年度に使用する必要がある。 また、平成26年度は本研究の最終年度であることから、国内の学会発表のみならず、国際学会での発表や論文執筆等、研究成果の発信にも力を入れる必要があり、そのための費用が発生する。
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Research Products
(11 results)