2013 Fiscal Year Annual Research Report
入浴事故の実態解明と入浴の安全性および危機管理システム構築に関する研究
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24390492
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Research Institution | Gunma Prefectural College of Health Sciences |
Principal Investigator |
肥後 すみ子 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 教授 (90320770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深井 喜代子 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (70104809)
村木 克爾 岡山県立大学, デザイン学部, 准教授 (30254600)
眞鍋 知子 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 准教授 (40573598)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 入浴事故 / 高齢者 / 生存例 / 死亡例 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究当初は入浴事故の実態を把握するために消防署の協力を得て全国調査を実施するために調査を進めていたが、本研究とまったく類似した論文を検索したため研究の一部を疫学調査に変更した。しかし、すでに群馬県内の調査はデータ収集が終盤となっていたため群馬県内の入浴事故に関する調査だけは完遂した。現在、テータの整理が終了し学会発表と論文作成の準備に取りかかっている。具体的な調査範囲は、群馬県内の消防署11か所のうち9か所の協力を得て、平成23年1月から12月までの1年間である。入浴事故は生存例と死亡例を含めて1075例で、これら総数のうち不搬送104例と性別不詳12例を除いて959例を調査対象とした。その結果、生存例は754例(男416例、女338例)、死亡例は205例(男112例、女93例)であった。年齢別では、生存例が66.1±23.6歳、死亡例が78.9±10歳で、入浴事故は男性に多く、死亡例は生存例よりも年齢が約12歳高く後期高齢者に多いことが明らかであった。事故の発生時刻や季節は、先行研究と同様であった。事故発生時の生存例の自覚症状では、意識障害27%が最も多く、次いで転倒・外傷14%であった。また、意識障害は前期高齢者に対して後期高齢者が約70%を占めていた。発見場所はが全体の90%が浴槽内、洗い場、脱衣室であった。さらに、事故発生の誘因と考えられる生活習慣病の有無からみると、基礎疾患延べ数に対して約40%を占め、そのうち高血圧症と糖尿病が高値であった。これらのことから入浴事故の誘因が高血圧症と糖尿病を有し、後期高齢者への注意喚起が重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究目的を達成するために3つの研究取組を計画した。①入浴事故発生の実態を把握するための調査。②事故発生の要因を明らかにするための疫学的調査。③入浴事故が高齢者に多いこと意識障害が発生することが多いことからその誘因を浴槽内での脳血流変化によるものと仮定し、入浴実験を行うこと。現在の進捗状況では、約65%は達成できている。その理由は、①は学会発表の登録準備中で(本年6月)、後は論文作成するだけである。②は学内の倫理審査の承認を得ており、現在データ収集中である。③についても倫理審査の承認を得て現在データ収集中であり、ほぼ50%は収集した。これらの結果から3つの研究の取組の見通しはついたところである。その後は、研究成果を通して入浴事故予防に関する啓もう活動を取り組む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の現在までの達成度に示した3つの取り組みを続行する。研究①については学会発表と論文作成に取り組む。研究②③についてはデータ収集を続行し、12月までに終了させる予定である。現在のところ、計画の変更は考えていない。
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Causes of Carryover |
入浴による循環動態と脳血流への影響を明らかにするための入浴実験の開始時期が遅れたことが大きな要因である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験施設使用料 被験者への謝礼 実験補助者への謝礼 データ整理のためのアルバイト 学会発表旅費
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