2014 Fiscal Year Annual Research Report
がん症状マネジメントにおける看護介入モデルの症状別臨床普及版の開発
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24390494
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
内布 敦子 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (20232861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 宏恵 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (00632457)
川崎 優子 兵庫県立大学, 看護学部, 准教授 (30364045)
永山 博美 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (20524953)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 症状マネジメント / セルフケア能力 / がん看護学 / 緩和ケア / 介入研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん診療の現場で優先順位の高い4つの苦痛症状(口腔粘膜炎、リンパ浮腫、皮膚障害、排便障害)毎に、がん看護専門看護師からなる研究班を組織し、リンパ浮腫班、口腔粘膜炎班、皮膚障害班は対照群のデータの蓄積のために観察研究によりデータ収集を行った。排便障害班は症状の実態把握のための調査を行った。 リンパ浮腫班は14例のデータを収集し、分科会を6回開催してデータ分析を行った。3カ月の期間、多くの事例で症状の改善は認められず、患者は指導された方法をなんとか実施して悪化しないように維持しているという実態が明らかとなった。口腔粘膜炎班は14例のデータを収集し、分科会を4回開催してデータ分析を行った。化学療法開始後4週の間に症状の著明な悪化は認められなかったが、ケアの実施には患者の過去の習慣が大きく関与していることが明らかとなった。皮膚障害班は5例のデータを収集し、分科会を3回開催しデータ分析を行い、皮膚症状の改善は認めなかったが、患者が生活の中でケアの優先順位を判断し、実用的なスキンケアを実施していることが明らかとなった。これら3つの班は平成27年度に予定されている介入研究の研究計画を完成させ、大学の倫理委員会の承認を得た。残る1班である排便障害班は化学療法中の患者の排便障害の実態調査を行い、23例のデータを収集した。排便障害によって生活に支障をきたすほどではないが困難な状況になっても医療者にアクセスしていないという実態が明らかになり、次年度に向け観察研究の計画を完成し、倫理委員会承認が済み、対象者のリクルートを開始している。 4つの班は並行して介入時に用いる患者教育用マテリアル(パンフレット)の開発を行い、一部が完成(ISBN取得済み)し、介入研究用にwebサイトに掲載予定である。さらにセルフケア能力測定用のスケールについて表面妥当性をする調査が終了し、投稿原稿を完成させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
応募時点では、代表的ながん治療の有害事象(症状)に対する症状マネジメントモデルの有用性を検証するために介入実験研究を予定していたが、効果検証のために対照群が必要との判断から、計画を見直し、初年度である24年度に文献検討によってケアのスタンダードを明確にし、介入に必要な患者教育用マテリアルや介入プロトコールの準備を行った。25年度から26年度にかけて観察研究によって対照群に相当するデータを収集し、分析を行った。観察研究では対照群のデータを得るだけでなく、患者の置かれている状況がより明らかになり、介入研究用のプロトコールを精錬することができた。達成度区分(2)とした理由として、①各班が観察研究に着手し事例数が積み重ねられ、データ分析によって実態が明確になった、 ②介入研究の準備として介入プロトコールおよび患者用マテリアルの一部が完成している、が挙げられる。介入研究の時期は若干遅れたが、介入内容が充実したことを評価して、現時点でほぼ計画通り進展していると判断した。 患者教育用マテリアル(パンフレット)は、EGFRおよびマルチキナーゼ阻害薬による皮膚症状用2種と患者用症状記録日誌を完成させ、ISBNを取得し正式に発行した(非売品)。リンパ浮腫および口腔粘膜炎用は内容を精錬させ、最終稿までこぎつけている。介入によるセルフケア能力への効果を測る目的で研究班が独自に作成したスケールの表面妥当性を評価した結果に関して、学会発表後投稿原稿を完成させた。また各班が26年度までの調査結果について学会発表と投稿を進めている。 27年度への準備として、最後の段階である介入研究について本学倫理委員会の承認が済み、介入研究のため大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)の登録が完成した。
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Strategy for Future Research Activity |
【介入研究遂行推進】介入研究は、研究班本部で作成した研究計画書を各施設の状況に合わせて柔軟に変更し、施設ごとの倫理委員会の申請を行い、介入事例データを多施設で収集する。また、一部完成していない患者教育用マテリアルおよびガイドブックを完成させ、Webサイトにも掲載し介入の際に使用できるよう整える。観察研究により明らかとなった課題(口腔粘膜炎班:歯科衛生士の介入や病棟看護師との連携、皮膚障害班:分子標的薬による皮膚症状を早期にキャッチするために医師と連携すること、リンパ浮腫班:ケアの継続を支えるのに効果的な介入が必要)を介入プロトコールに反映させて精錬させる。症状マネジメントの統合的アプローチ(IASM)は定期的継続的に患者にアクセスするので、現場看護師の協力を得て研究実施体制を整えることが必要であり、施設との事前交渉などを行う。 【観察研究の発表と投稿】観察研究で収集した対照群データは、研究班本部で作成した共通の分析フォーマットを症状毎に改変し、効率良く分析できるように工夫する。web会議システムを効果的に活用してディスカッションを行い、データ分析を進め学会発表、投稿ができるようにし、介入研究結果が得られた時に比較できるよう準備する。
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Causes of Carryover |
患者教育用マテリアルの内容の精錬、オリジナルイラストの作成、レイアウトの検討に時間を要し、リンパ浮腫および口腔粘膜炎用の患者教育用マテリアルは原案作成までしか行えなかった。そのため、パンフレットの制作費、印刷費、ガイドブックの印刷費、Webサイトへの掲載費用として次年度に使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
患者教育用マテリアルおよびガイドブックの制作、印刷、Webサイトへの掲載を行う。
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Research Products
(3 results)