2013 Fiscal Year Annual Research Report
長寿社会における地域参画型認知症トータルケアプログラムの開発と評価
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24390508
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Research Institution | Nagano College of Nursing |
Principal Investigator |
渡辺 みどり 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (60293479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿保 順子 長野県看護大学, 看護学部, その他 (30265095)
安田 貴恵子 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (20220147)
百瀬 由美子 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (20262735)
堀内 ふき 佐久大学, 看護学部, 教授 (90219303)
征矢野 あや子 佐久大学, 看護学部, 准教授 (20281256)
千葉 真弓 長野県看護大学, 看護学部, 准教授 (20336621)
池田 光穂 大阪大学, 学内共同利用施設等, 教授 (40211718)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 認知症 / トータルケア / プログラム開発 |
Research Abstract |
高齢者の認知症予防と身体的機能維持に関する効果を検討する目的で、参加高齢者109名の水中運動の参加の有無と継続年数、過去一年間の転倒の有無、運動機能、転倒予防自己効力感、転倒自己効力感と抑うつスケール(GDS)により検討した。5年以上継続した者はそうでないものよりも、左膝伸展筋力が転倒経験なし群は転倒経験あり群に比較して有意に高く、転倒自己効力感において、有意ではないものの転倒経験あり群の方が低く、GDS得点が5年以上継続群で有意に低かった。身体機能維持を目的とした運動の効果は精神活動ことに抑うつ感に違いが生じることが示唆された。 認知症の家族介護者支援方法を検討する目的で、対象地域の地域包括支援センターが平成24年4月1日~10月31日の期間に受けた相談のうち高齢者本人に認知症が認められる相談事例96件(延べ数253)の相談記録内容を分析した結果、<認知症症状の悪化に加えて<家族も健康問題を抱えている>、<昼間1人になるので心配・帰宅が遅い>という介護力の低さ、対応方法では、<記憶障害・見当識障害への対応困難>などが明らかになった。高齢化の進行に伴い、家族介護力の低い状況にあり、持ちこたえられなくなって相談にきている現状が浮き彫りになった。 認知症高齢者への終末期ケアを行うための看護師の役割を明らかにすることを目的として、11施設のグループホーム看護管理者へのインタビューを分析した。<入居者の観察や会話をとおして家族や生活の背景まで理解しつつ健康状態を詳細に把握する><介護職との情報共有をもとに入居者の医療の必要性を判断する><予測される変化に応じた対応の確認と施設の医療対応の体制を整える><正確な情報提供と治療に関する指示の周知伝達を徹底する>、<指示された終末期に必要な医療行為を実施する>など10カテゴリーが抽出され、終末期ケアにおける重要な看護実践と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)認知症予防のための生活相談と身体機能維持:対象地域の4月~10月の6か月間について「地域包括指導センターに持ち込まれた認知症に関する相談分析」を行った。相談内容も分析し成果発表もしている。②認知症予防のための身体機能維持。認知症予防のための身体機能の維持を目的とした、水中運動の効果は101名の参加者のデータ収集・分析ができており、運動の長期継続と精神活動の関係が一定明らかになってきている。この運動プログラム内容の実践については、「身体教育医学研究」誌に掲載され、進捗状況は極めて順調である。 2)認知症高齢者の個別の随伴症状への対応:「認知症高齢者の生活世界に基づくケア方法の開発」フィールド調査を行い、現在データの分析作業に入っている。開拓を行った。駒ヶ根市近隣地域のグループホーム入所中の中等度・重度認知症高齢者 3)認知症高齢者の身体合併症予防と対応: 認知症高齢者に多い身体合併症のうち特に感染の問題に着目し、地域在住の健康な高齢者50名、介護保険施設入所中の要介護状態にある高齢者50名を対象に、「薬剤耐性黄色ブドウ球菌と表皮ブドウ球菌の分布状況と性状に関する調査」のデータを収集した、現在この分析を行っているが、この分析作業にやや遅れが出ている。 4)家族介護者およびケア提供者への教育的支援: 認知症キャラバンメイトの調査作業を進めている。質問紙が完成しているものの、この配布・回収作業が途中であり、やや遅れている。データ収集は今年度継続して行い、分析も今年度実施できると見込んでいる。 5)終末期にある認知症高齢者と家族への支援: 11施設の終末期ケア経験のあるグループホーム管理者の実践経験をインタビュー調査した結果を分析した。この進捗は順調であり、成果発表も予定できている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題を進めるにあたって、1)~5)について以下のような推進方策を持っている。 1)認知症予防のための生活相談と身体機能維持:「地域包括指導センターに持ち込まれた認知症に関する相談分析」の結果に基づき、地域における生活相談方法を検討していく予定である。認知症予防のための身体機能維持。認知症予防のための身体機能の維持を目的とした、水中運動教室は今後も継続して行っていく。精神機能の抑うつスケールに加え、認知機能検査も指標として追加した。長期運動継続とMCIの関係についても調査分析していく予定である。 2)認知症高齢者の個別の随伴症状への対応:「認知症高齢者の生活世界に基づくケア方法の開発」フィールド調査を行い、現在データの分析作業をさらに進める。グループホームという生活の場で、認知症の随伴症状への個別的な対応方法を具体的にしていく予定である。 3)認知症高齢者の身体合併症予防と対応: 認知症高齢者に多い身体合併症のうち特に感染の問題に着目し、地域在住の健康な高齢者50名、介護保険施設入所中の要介護状態にある高齢者50名を対象に、「薬剤耐性黄色ブドウ球菌と表皮ブドウ球菌の分布状況と性状に関する調査」のデータの分析を進める。それらに基づき、高齢者および認知症高齢者の感染症の蔓延化とそれによる身体合併症予防への示唆を得る。 4)家族介護者およびケア提供者への教育的支援: 認知症キャラバンメイトの調査分析を進める。これらの結果に基づき、地域参画型の認知症ケアとは何かということに関する検討資料とする。 5)終末期にある認知症高齢者と家族への支援: 11施設の終末期ケア経験のあるグループホーム管理者の実践経験をインタビュー調査した結果を分析結果を論文として成果発表し、社会に発信していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費の効率的な執行により次年度使用額が生じた。 26年度に行う成果発表の経費に充てる計画。
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Research Products
(6 results)