2012 Fiscal Year Annual Research Report
文化遺産救済策としてのエジプト古代都市の立体復原とその活用
Project/Area Number |
24401031
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
川西 宏幸 筑波大学, 名誉教授 (70132800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
周藤 芳幸 名古屋大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70252202)
堀 賀貴 九州大学, 大学院・人間環境学研究科(研究院), 教授 (20294655)
内田 杉彦 明倫短期大学, 歯科技工士学科, 准教授 (00211772)
辻村 純代 国士舘大学, イラク古代文化研究所, 共同研究員 (60183480)
花坂 哲 古代オリエント博物館, 研究部, 共同研究員 (70512870)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | エジプト / 都市研究 / アコリス / 文化遺産救済 / 3D測量 / 立体復原 / 地域研究 / 記録保存 |
Research Abstract |
2012年7~9月に間に、中エジプト・アコリス遺跡ならびにザウィヤト・スルタン古代採石場趾で、現地調査を実施した。本課題の方法上の眼目は3D測量を駆使するところにあるので、測量を円滑に進めるために、対象地の目視調査と全作業のプランニングから始めた。その結果、2012年度は都市址アコリスに対象を絞ることにして、精度の高進に欠かせない事前の清掃に着手した。既掘地である南西域から始めて、順次、北方へと範囲を拡げていった。その進行を追って測量を続け、南北650m、東西300mの都市域15haのうちの3分の1強を終了させることができた。測量実施前の準備に時間を要したことを考慮すると、その進展ぶりは当初の予測をほぼ満たしている。 ただ予測外のこととして、本課題に伴って購入した3D測量器FAROが、摂氏40度を超す気温に耐えられず、そのために作業時間が総長と夕方に限定された点である。保冷剤の活用などによって、この点を補う方策が求められるが、機器使用上のこのような限界が見極められたのも、成果のひとつに加えられよう。 こうして得られた点群データは、分担者の堀賀貴を中心とした九州大学の測量班が現在分析中であり、その完整までにはもう少し時間の経過が必要である。2013年3月に名古屋大学で実施したアコリス公開シンポジウムでの中間発表によると、最初に測量に着手した南西部の既掘地での結果は、アナログ測量を精度面でははるかに凌ぎ、立体復元の画像も所期の要請に充分応えている。 なお、FAROよりもさらに精度と遠距離性に優れた機器をオペレーター付で無償提供したいという申し出が、或る民間企業から寄せられた。もとより我われに異存はなく、FAROとこの間に互換性も確保されるので、2013年度以降は、測量作業のいっそうの進捗が期待される。このような申し出も今年度の成果と言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
所期の目的、計画ともに変更の必要はない。ただ、他の既存の都市遺跡に関する資料収集と、点群情報処理の迅速さとに、やや欠けるところがあった。
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Strategy for Future Research Activity |
所期の目的、計画を掲げて本課題を推進することに、何の障害も見あたらない。2013年度以降は民間企業からの技術的援助が得られるので、さらなる進展をはかることが可能になるはずである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
分担者の堀賀貴が、計画当初に予定していた調査期間が大幅に変更になり、調査における人件費等を予定通りに執行できなかったため。平成25年度は1カ月以上の長期にわたる調査を行い、また機器オペレーターの人員を増員する予定となっており、それらの渡航費・滞在費に使用する。
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Research Products
(6 results)