2012 Fiscal Year Annual Research Report
中国南北朝時代の仏教文化とその源流にかんする考古学的研究
Project/Area Number |
24401032
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡村 秀典 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (20183246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 穣 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (60201935)
船山 徹 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (70209154)
向井 佑介 京都府立大学, 文学部, 講師 (50452298)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 仏教文化 / 考古学 / 雲岡石窟 / 寺院 / 青銅器 / ソグド / 南北朝 / 蛍光X線分析 |
Research Abstract |
仏教文化の東伝をめぐっては、これまで経典の仏教学的分析と仏像の美術史的分析との両面から主に研究が進められてきた。本研究は、これら諸研究と京都大学人文科学研究所が75年にわたって中国とインド・ガンダーラで積み重ねてきた考古学的調査の成果、なかでも本研究代表者の岡村が進めてきた中国山西省の雲岡石窟など北魏仏教寺院の日中共同調査の成果をふまえ、中国南北朝時代の仏教寺院と仏教儀礼に焦点をあてた考古学的調査をおこなうことにより、仏教学でも美術史でもない第三の新しい仏教文化の研究分野を開拓しようとするものである。 そのため、本年度は第一に、当研究所に保管する1万枚あまりの雲岡石窟の写真を整理した。それは水野清一・長廣敏雄『雲岡石窟』全16巻32冊を復刻するとともに、そこに収録されていない未報告写真を集録した新版『雲岡石窟』4巻本を中国社会科学院考古研究所と共同で編集しており、中国の科学出版社がその出版を引き受けたからである。2013年にその復刻本、2014年にその新版を出版する予定である。 第二に、南北朝金属器の考古学・理化学的調査について、南京大学歴史系の賀雲皋教授と共同で江南の六朝遺跡から出土した金属器の調査をふまえ(その報告は2013年に発表予定)、泉屋博古館の廣川守に依頼して和泉市久保惣記念美術館に所蔵する響銅器の蛍光X線分析をおこない、廣川守・向井佑介と共著による「六世紀のソグド系響銅-和泉市久保惣記念美術館所蔵品の調査から」(『史林』第95巻第3号)を発表した。その理化学的分析により、南北朝時代に西域やインドから珍しい銅器が伝来するだけでなく、「サハリ」という青銅器の新しい制作技術も伝来したことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
尖閣問題による反日デモが激化したことにより、9月の中国調査では調査途中で帰国せざるを得なかったが、中国調査で中途半端で終わった分については、今年度に実施することで調整している。そのかわり日本国内のコレクション資料について関連調査を実施し、全体としておおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、中国社会科学院考古研究所との共同編集による新版『雲岡石窟』の出版を完遂させる。第二に、南北朝時代の青銅器とガラス器など仏教儀礼に用いる仏具について考古学・理化学的分析を進め、仏教東伝にかんする多角的な調査をおこなう予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
9月の中国調査が反日デモの激化により中断したために、本年度分と合わせて本年度に現地調査を実施する。
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Research Products
(3 results)