2014 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル・シティーの変容と「新しい公共空間」の形成に関する国際的比較研究
Project/Area Number |
24402010
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
飯田 文雄 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (70184356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇野 重規 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (00292657)
辻 康夫 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (20197685)
苅田 真司 國學院大學, 法学部, 教授 (30251458)
渋谷 謙次郎 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (50346277)
早川 誠 立正大学, 法学部, 教授 (80329010)
鏑木 政彦 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 教授 (80336057)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | グローバル化 / 都市政治 / サッセン / ヤング / 社会運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、都市のグローバル化の特異性に着目するグローバル・シティー論を手がかりとして、2000年代半ば以降の新しいグローバル化運動・思想の特質を、「新しい公共空間」の形成という観点から国際比較することにある。本年度は特に、近年の都市や地方における公共空間の一つとしての行政機構や議会などの政治空間の変容に関連する、以下の諸問題の考察を行った。 (1)第一に本研究では、グローバル・スタディーズや都市社会学、行政学や議会研究等の領域で行われた、近年の都市や地方における政治空間のグローバル化に関する先行研究を分析し、政治空間内における新しいグローバル化の進展に関する理論的説明の現状を考察した。その結果、①従来のグローバル・シティー理論では、外国人は最終的に受け入れ国への定住化を希望するとの仮説が安易に受け入れられてきたが、近年グローバル化の進展の過程で、そうした前提の理論的再検討が開始されつつある、②近年のグローバル化理論では、外国人への権利付与の理論的根拠として、統治体の政策によって影響を受ける人全員に対して一定の政治参加を許容する、いわゆる「影響を受ける主体全員参加の原則」理論への理論的関心が高まりつつある、等の重要な知見が判明した。 (2)更に本研究では、2000年代半ば以降の北米・西欧・東欧諸都市における、グローバル化に向けた政治空間の具体的変容の実態とその歴史的・地理的諸要因等について考察した。その結果、①政治空間のうち国政単位でのそれに関わる議会・行政・政党等の諸制度は、社会内の多数派の意向を重視する傾向が強く、都市においてもそのグローバル化への傾向性は限られている、②他方地域レベルでの政治に関与する政治空間は、地域の人口構成変動に対応して比較的迅速に変化する傾向が強く、ここでは都市・地方の双方でグローバル化への急速な進行が確認出来る、等の重要な知見が判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本語での研究論文・図書の公刊や学会報告が当初の予定通り相当数行われており、更に外国語での研究報告も当初の予定通り順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初計画に従い、都市の反グローバル運動の特色、日本のグローバル化に関する諸問題等を順次考察する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度の研究過程においては、主として購入予定の洋書の価格が当初予想より下落したことや、刊行予定の洋書の刊行が延期されたこと、航空運賃が当初予想より下落したこと等の諸要因によって、助成金の一部を次年度に使用することとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度においては、書籍購入費や旅費等を当初予定より増額して使用する予定である。
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Research Products
(14 results)