2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24402021
|
Section | 海外学術 |
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
布川 日佐史 法政大学, 現代福祉学部, 教授 (70208924)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 秀雄 大阪市立大学, 法学研究科, 教授 (50161534)
武田 公子 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (80212025)
嶋田 佳広 札幌学院大学, 法学部, 准教授 (40405634)
上田 真理 東洋大学, 法学部, 准教授 (20282254)
名古 道功 金沢大学, 法学系, 教授 (80172568)
吉永 純 花園大学, 社会福祉学部, 教授 (70434686)
瀧澤 仁唱 桃山学院大学, 法学部, 教授 (60226959)
嵯峨 嘉子 大阪府立大学, 人間社会学部, 准教授 (30340938)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 最低生活保障 / 就労支援 / 生活保護 / 雇用創出 / 社会的企業 / 最低賃金 |
Research Abstract |
ドイツ社会法典II(求職者基礎保障)導入によって、どのような労働市場が形づくられてきたか、そこでの移行・モビリティーの実態はどのようなものか、それをどう評価しているかについて、IAB、IAQなどの研究機関、およびDGB,BADなど労使それぞれの団体で、ヒアリングを行った。また、失業者の生活保障面での効果についての評価を、SOVDなど社会保障関連団体でヒアリングした。これらをもって、「フレキシキュリティー」のドイツ的特徴を明らかにすることができた。今回共通していたのは、ハルツIVに陥ることへの不安が、早期再就職を促しているという評価である。就労支援が成果をあげ、長期失業が減ったという評価で共通しているわけではなかった。逆に、長期失業の固定化と、低賃金雇用の増加・Aufstockerの増加を問題視する見解が多かった。 また、SOS子供村職業訓練センター、ベルリン清掃公社、ヴェルクシュタットフランクフルト、ジョブボルゼミュールハイムなど、社会的不利を抱えている失業者への就労支援を担っている団体へのヒアリングによって、就労支援の重点が大きく変化し、長期失業者への職業資格付与およびソーシャルワークの予算が削減され、自治体財源に負担が転嫁されてきている様子を把握することができた。BAは労働市場に近い人に支援予算の重点を移し、自治体の役割がかつてのHilfe zur Arbeit時代のように大きくなっていることがわかった。こうした現場の変化を見たことの意味は大きい。 あわせてフランクフルトの介護関係施設のヒアリングから、低賃金労働の代表である介護助手職の就業の実態と、正規職員への転換の可能性について、実態を知ることができた。さらに、法定最低賃金導入の動きや、Aufstocker対策をフォローする上で、重要な知見を得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)キーパーソンへのヒアリングは順調に進んでいる。 これまでに主だった者へのヒアリングはほぼ終えた。 ヒアリングを必ずしなければならない研究者のうち、残っているのはゴックラー教授だけである。 (2)研究成果の中間発表の場を持つことが遅れている。 構成員内部の研究会は繰り返し行っており、研究成果のまとめは進んでいる。 研究成果を対外的に発表する場がまだもてていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は以下のように研究を進める。 (1)キーパーソンへのヒアリングを続ける。 (2)ドイツ国内で新たな研究成果を出している研究グループへのヒアリングを行う。 (3)社会政策学会で研究成果を報告し、広く意見交換を行う。 (4)11月のミュンダー教授の来日にあわせて、最終報告書に向けたつめの意見交換を行う。 (5)成果をまとめ、出版計画をたてる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)研究分担者である武田公子(金沢大学)が体調不良のためドイツ調査に参加できなくなった。今年度のドイツ調査に予定した旅費を次年度の調査にあてることとした。 (2)学会報告のための旅費を、次年度に回した。 (1)2014年夏の調査旅費として、武田公子が使用する。 (2)10月の学会報告時の旅費にあてる。
|