2013 Fiscal Year Annual Research Report
南極大陸辺縁部における夏季エアロゾル相の上下混合過程の飛翔体観測
Project/Area Number |
24403001
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
林 政彦 福岡大学, 理学部, 教授 (50228590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東野 伸一郎 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40243901)
白石 浩一 福岡大学, 理学部, 助教 (80299536)
原 圭一郎 福岡大学, 理学部, 助教 (10390593)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | エアロゾル / 南極圏界面層 / 無人機観測 / 気球観測 / 長期変動 / オゾン |
Research Abstract |
2012年度には、第54次南極地域観測隊に参加し、昭和基地において、高度10kmまでのエアロゾル粒径分布の鉛直分布およびエアロゾル採取に成功した。2013年度は第55次観測隊に同行し、しらせ船上からの気球観測を実施する予定であったが、南極地域観測隊の状況と派遣要員の都合により、第56次南極地域観測隊での実施に計画を変更し、2013年度は、データ解析、サンプル分析、56次観測の準備等に充てることにした。具体的には以下の研究を実施した。 ①昭和基地における2013年1月の5回の観測によるエアロゾル粒径分布データの解析、サンプルの分析を進め、2013年1月の昭和基地上空の対流圏、成層圏最下層のエアロゾルの状態を明らかにしつつある。特に高度5km付近に見られた高濃度層の生成要因について考察を進め、その起源を明らかにしつつある。 ②54次南極地域観測隊で10kmまでの観測に成功した無人航空機システムをより高高度へ展開するための実験、機体改修、飛行シミュレーション手法の改良をすすめている。54次観測隊で実施した観測の飛行データ、オンボードカメラの動画の解析によって明らかになった自律航行プログラムの問題点等の修正を行い、より効率的な帰還経路選定、高高度での安定性の向上を図った。また、極域の冬季観測等を想定し、サーボの耐低温モデルへの変更、高高度での操縦制御安定性確保のためのフラップの追加など機構上の改良も行った。 ③しらせ船上のエアロゾル・オゾンの気球観測を実現するために、国立極地研究所との交渉を進めると同時に、実現可能な観測プログラムを検討した。その結果、加熱エアロゾルゾンデによる揮発特性観測を行わず、オゾンゾンデとエアロゾルゾンデの連結飛揚を計画することとし、連結飛揚の通信試験等を行い、問題なく動作することを確認した。 ④1998~2012年の日本南極地域観測隊のエアロゾルゾンデ観測データの解析を行い、長期変動について検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本課題では、夏季の昭和基地エアロゾルに関して、①粒径分布と組成の鉛直分布とその変動を気球分離式無人航空機による直接観測とサンプル回収、気球による不揮発性エアロゾル観測で、②エアロゾル粒径分布の子午面断面構造を南極観測船「しらせ」船上からの気球観測で、③長期的な変動傾向を昭和基地における15年間の気球観測結果の解析、により把握する。これらを総合的に解析することで、特に夏季の極域対流圏と成層圏、中緯度大気との間の圏界面付近のエアロゾル循環像を対流圏エアロゾルへの成層圏エアロゾルの影響という視点から明らかにすることを目的とする。さらに、④成層圏、自由対流圏などの領域の気球分離式無人航空機観測に関する実証データを取得し、新たな観測手法の確立と発展方向を明らかにすることを目的としている。 これまでのところ、しらせ船上観測が隊員派遣計画の変更もあり1年順延され実施できていない。他の計画については、それぞれ順調に進展しており、やや遅れていると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度は最終年度に当たる。取得できていないデータの取得を行うとともに順次サンプル分析、データ解析を進め、研究目的を実現する。 ①2013年度(55次観測隊)から順延したしらせ船上からのエアロゾル・オゾン連結ゾンデ観測を実施する。 ②54次隊の観測で発見された自由対流圏中のエアロゾル高濃度層の期限を明らかにする。 ③56次観測隊において昭和基地で実施する高度30kmからの無人機帰還実験成功のための無人機制御システムの高度化を行う。 ④昭和基地のエアロゾルゾンデの長期データ解析により長期変動の実態を明らかにする。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Development and Operational Experiences of UAVs for Scientific Research in Antarctica2013
Author(s)
Higashino,S., Funaki,M., Hirasawa,N., Hayashi,M., and Nagasaki,S.
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Journal Title
International Series on Intelligent Systems, Control and Automation:Science and Engineering
Volume: 65
Pages: 159-173
Peer Reviewed
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