2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24404008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西村 修 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80208214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 宗弘 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (70359537)
藤林 恵 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (70552397)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 底質有機炭素含有率 / 脂肪酸 / 安定同位体比 / 流動 / 閉鎖性水域 / 太湖 |
Research Abstract |
極度な富栄養化が進行し,アオコの異常増殖が深刻な問題となっている太湖(中国)において,底質の有機汚濁の機構を解明し,対応策を提案することを目的として,平成24年度はまず,脂肪酸マーカー,バルク炭素・窒素安定同位体比,脂肪酸の炭素安定同位体比を用いて太湖底質の起源解析を行った.調査は平成24年8月,平成25年2月に行い,太湖全域から33地点を調査地点として選定し,底質および湖沼水をサンプリングした.脂肪酸解析の結果,太湖の底質には高等植物に由来する脂肪酸が湖心部の底質も含め多く含まれており,陸上植物あるいは沈水植物の寄与が大きいことが明らかとなった.一方で,アオコが異常増殖している状況にあって,アオコに由来する脂肪酸マーカーの検出量は少なかった.この傾向は炭素安定同位体比のよる解析でも同様の結果となり,アオコとしての底質への供給があっても,速やかに分解され,底質への有機物としての蓄積量は高等植物と比較して相対的に少ないことが明らかとなった.このことは今後太湖の有機汚濁を改善していく上で重要な知見である. また,流速と底質有機炭素含有率の関係を調査した.申請者らが国内で行った先行研究によると,ある一定の流速を超過する確率と底質有機炭素との間には負の関係があったが,太湖では同様の傾向を検出することができなかった.これは,太湖の底質の粒径分布が日本の湖沼と比較して小さいことに起因する可能性が示唆され,次年度以降は粒径もパラメーターとして評価する.流動と底質の有機炭素含有率が明らかとなれば,今後人工的に流動制御を行うことで底質の有機炭素を管理できる可能性があり,閉鎖性水域の有機汚濁対策の突破口として期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
太湖の全域調査では当初25地点を対象としていたが,今年度は33地点から底質を採集することができ,より詳細な分布を評価することができた.また,脂肪酸組成および炭素安定同位体比によって底質の有機炭素に高等植物の寄与が大きいことが明確に示され,今後の太湖有機汚濁の改善策を提案するための基礎的な情報を得ることができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
底質の形成機構解明のために,セジメントトラップの設置を新たに計画した.また当初の予定通り,今年度は底生動物の摂食・同化による底質無機化作用を評価する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額とあわせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)