2013 Fiscal Year Annual Research Report
欧米分類学者の命名による日本産植物のオリジナル・マテリアル及びタイプの特定
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24405014
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Section | 海外学術 |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大場 秀章 東京大学, 総合研究博物館, 名誉教授 (20004450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 博 東京大学, 総合研究博物館, 准教授 (30299177)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | タイプ / 命名 / 標本 / 日本産植物 / 欧米分類学者 |
Research Abstract |
1930年の「国際植物命名規約ケンブジッジ・コード」以前に発表された学名では、後代の研究者によるタイプの指定が必要である。タイプ選定に当たり、命名の基礎となったオリジナル・マテリアルの特定が必要となる。特定と選定の困難さが予想された、Siebold らの命名による分類群を中心に研究を進めた。 1)標本の所在調査 彼らが研究に用いた標本等の大半が収蔵されるオランダ国立植物標本館とバイエルン州立植物標本館で調査を実施した。対象標本の所在リストを作成し、顕微鏡等を用いた詳細な観察により標本の同定を行った。 2)オリジナル・マテリアルの特定とタイプの選定 1)で選出した標本を記載内容等と比較検討し、オリジナル・マテリテリアルの特定を行った。さらにそれぞれのタイプ(レクトタイプ)指定の提案を行った。 3)成果の発表 Seibold & Zuccariniの命名した分類群のうち、Engler分類法による被子植物のフトモモ科からマツブサ科に属する55種の研究成果を論文にまとめ、タイプの提案を行った。また、オリジナル・マテリアルを含むバラ科バラ属とアジサイ科アジサイ属の全コレクションの再同定を結果を3篇の論文にまとめた。また、SieboldコレクションでBlumeが記載したブナ科の新種のオリジナル・マテリアルの補遺を行い、1分類群についてタイプ選定の提案を行った。 本研究での標本利用とタイプ選定については、関係する研究機関の承諾を得た。オランダ国立植物標本館とバイエルン州立植物標本館の実質的な標本管理の責任者であるGerard Thijsse博士(オランダ)とHans-Joachim Esser博士(ドイツ)には、主要な成果発表に際し、共著者に加わっていただいた。シーボルト・コレクションに詳しい田賀井篤平博士(東京大学名誉教授)、ならびに秋山忍博士(国立科学博物館)には成果発表の際、共著者に加わっていただいた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
タイプが指定されずに発表された1930年以前に発表された新種のタイプ選定は、それぞれの分類群の専門家によってなされるのが望ましい。しかし本研究の対象とするシーボルトの命名新種の場合は、日本の植物相への精通なしにはオリジナル・マテリアルの特定もタイプの選定もむずかしいことが多くの分類学者に低通する共通認識となっている。まさに日本植物相の研究者に課せられた研究課題といえる。 研究開始する時点で、シーボルトと協力者や後任の研究者であるBuergerらが蒐集し、オランダのオランダ国立植物標本館とミュンヘンのバイエルン州立植物標本館が収蔵する植物標本は山口隆男(2003年)の研究にもとづいて約11000点と推定した。調査は概ね予定通り、順調に進めることができた。しかし、研究の進展にともない、新たにバイエルン州立植物標本館に150年以上も梱包されたままの状態で保存されたきた未整理のシーボルト・コレクションの一部と推定される植物標本が同館の研究者によって見い出された。館側からその暫定的な調査を依頼され、その実態を明らかにするのに手間取ってしまったことが遅延の大きな理由である。しかし、その未整理標本から、これまで未発見と見做してきたオリジナル・マテリアルが数点発見された。 本研究がライデンならびにミュンヘンでそこを本拠にする研究者のシーボルトらの研究とシーボルト・コレクションへの興味を喚起していることは確実である。多くの研究者との意見交換は研究の進行の妨げになるともいえるが、標本や当該分類群についての関連情報を増やすことになり、発表する論文の内容に豊かさが加わった点では、意義が認めることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
1930年の「国際植物命名規約ケンブジッジ・コード」は新種等新分類群の命名発表にはタイプの指定を義務付けた。このタイプ法をともなう命名規約の誕生以前に発表された新種等の発表では、学名の安定化のために後代の研究者がタイプを指定することが望まれている。その際は命名の基礎となったオリジナル・マテリアルの特定とその中からのレクト・タイプ選定が必要である。日本植物の多くは1930年以前に命名されており、学名の安定化のうえで、レクト・タイプの選定は避けて通れない。本研究では、種々の状況からその特定と選定が困難であると予想された、Siebold ら命名による分類群を中心に研究を進めた。 当初計画に従い、エングラー分類法での被子植物合弁花類(イワウメ科からキク科)の全分類群の当該標本についての解析研究を推進する。ライデンのオランダ国立植物標本館とミュンヘンのバイエルン州立植物標本館において、1)標本調査(現地調査)を行い、2) 関連標本の文字・画像データベースを作成し、3) オリジナル・マテリアルを特定し、4) そのなかからタイプ(レクトタイプ)を選定する。その結果は、論文にまとめるとともに、オリジナル・マテリアルとタイプは画像データベースとして公開する。また、オリジナル・マテリアルとした標本には標本上にそのことを明記したannotation labelを貼り、タイプとした標本にもタイプの種類等を記入したラベルを貼る。 経費の使用計画として、旅費はオランダとドイツ(ミュンヘン)等での現地調査に用いる。現地調査では秋山忍(国立科学博物館)の協力をえる。物品費は主にデータ収集保存・活用に使用する。謝金は資料整理のために使用する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
オランダ国立植物標本館の移転が早まったため、当初予定していた標本調査の一部を実施することが不可能となった。 オランダ国立植物標本館の事情で、平成25年度に得らるデータが予定より少なかったため執行できずに生じた次年度使用額(152,184円)は、主に標本画像等のデータ収集保存・活用のための消耗品購入のための物品費に充てる。
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Research Products
(6 results)