2013 Fiscal Year Annual Research Report
伊達政宗の遣欧使節の末裔といわれるスペイン「ハポン」姓の人々のゲノムワイド解析
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24405017
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 敏充 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50260592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 成也 国立遺伝学研究所, 集団遺伝学研究系, 教授 (30192587)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ハポン姓 / 日本人 / ゲノム / スペイン / Yハプロタイプ |
Research Abstract |
5月に、仙台に行き、可能な限り仙台地方に土着性の高い試料の採取方法について、研究協力者である伊達泰宗氏らと検討した。 昨年度2月にコリア・デル・リオ町長への表敬訪問で研究協力への要請を行い、了承を得たが、4月に急遽、町長が交代したので、6月に改めて新町長に研究継続を認知してもらうため現地へ赴き、7月に新市長を表敬訪問し、正式な研究協力の要請を行った。また、担当者と、実際に採取するための期日・場所・要員・必要消耗品の手配など手段の具体的な打ち合わせを行った。その後、マドリッド経由で研究協力先であるサンティアゴ・デ・コンポステーラ大学(USC)法医学教室Angel Carracedo教授の研究室へ採血試料を陸上移送する予行演習を行った。また、同大学で実際にDNA抽出するゲノム解析センターを視察した。なお、マドリッドでは、在スペイン日本大使館に立ち寄り、経過報告後、日本への抽出DNAの運搬方法を検討した。 研究協力体制が確立し、実際に試料採取が可能となったので、7月に名古屋大学医学部倫理委員会に申請し、9月に承認を得た。 10月に、研究協力者の伊達泰宗氏が急遽訪問できなくなったので、現地で有名な第13代支倉常長家当主支倉常隆氏による講演に、集まったハポン姓の人々に、本研究の趣旨をCarracedo教授がスペイン語で説明し、同意が得られた男性及び希望する女性から同意書に署名を得て、約5ml採血した。採血試料をUSCに搬送し、技官の協力のもとDNA抽出し、その各一部を真空乾燥品として日本に搬送した。 DNA試料を定量し、Identifiler plusキットを用いて、性別確認後、Yfilerキットを用いて、17座位のY-STRsのハプロタイプ解析を行った。WEBデータベースであるYHRDで検索して日本人及びスペイン人のと比較した。また、論文中のハプロタイプとともにネットワーク解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初予定していた現地での試料採取は、途中、様々な突発事項により、多少遅れたもののほぼ予定通り進行し、海外での学術調査としては、非常にうまく進行したと考えられる。また、数度の調整ののち、一度に採取できた対象となる試料についても、おおむね目標数に達することができた。さらに、それらのDNA解析についても、Y染色体のマーカーやその結果を用いたデータベース検索におけるハプロタイプの照合、および文献上から得られた日本人やスペイン人のデータを用いたネットワーク解析など、ほぼ予定通り終了したと考える。しかしながら、日本における仙台地方での対照試料の採取が、やはり突発事項により、研究体制を再調整しなければならなくなり、やや遅れている感はあるが、研究体制も再度確立できる目途もたち、また方針もほぼ決定したので、本年度中にほぼ終了できる可能性が非常に高くなった。さらに、スペインの共同研究者であるCarracedo教授の研究室との親交も順調に進み、採取された対象となるDNA試料のゲノムワイドSNPs解析も今年度から、順次行える状況にある。一方、今年度中に採取されるであろう仙台地方の対照試料へのDNA解析の準備状況についても、Yハプロタイプ解析用の試薬も準備され、ゲノムワイドSNPs解析も連携研究者である東京大学徳永教授との協力関係も良好な状況にある。従って、さほど大した問題もなく、おおむね順調に進んでいるといって過言でない。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度、採取された「ハポン」姓の人々から抽出されたDNA試料について、スペインの研究協力者であるサンティアゴ・デ・コンポステーラ大学のCarracedo教授と協力して、同大学のゲノム解析センターでGenome-Wide Human SNP Array 6.0を用いて90万個の常染色体上のゲノムワイドなSNPs解析の準備を進める。 宮城県仙台市内及び近郊に3代以上、できれば、400年間以上在住する土着性の高い家系の男性約50名から血液試料を採取し、当研究室においてDNAを抽出・定量する。これらのDNA試料をYfilerキットによる、17座位のY-STRsのハプロタイプ解析を行う。その結果を「ハポン」姓の人々から得られた結果と比較する。また、連携研究者である東京大学の徳永勝士教授と協力して、Genome-Wide Human SNP Array 6.0を用いて90万個の常染色体上のゲノムワイドなSNPs解析を始める。昨年度までに構築された協力体制を基に、できるだけ調査範囲をさらに拡大し、より多くの「ハポン」姓の人々(できる限り男性)からインフォームド・コンセントを取り、補完的に試料収集を行う。追加採血試料が得られたら、同様にSCUでDNA抽出・真空乾燥し、日本に搬送する。 追加採血試料につき、同様に、YfilerキットによるY-STRsのハプロタイプ解析を行い、それをWEB上のYHRDで検索して日本人及びスペイン人のデータと比較する。また、文献などから日本人及びスペイン人のデータを検索し、NETWORKソフトウエアによりネットワーク解析を行って、どちらかの集団に近いハプロタイプはないか、探し出す。また、追加DNA試料についても、SCUのゲノム解析センターで同様にゲノムワイドSNPs解析を始める。可能ならば、全ての男性試料について、Y-SNPsも利用したYハプログルーピングを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
スペインへ渡航する際に航空券をできるだけ格安な航空券を使用したため、少額ではあるが、次年度使用額が生じた。 仙台地方で対照試料を採取する際の国内旅費の一部として使用する予定である。
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Research Products
(8 results)