2013 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアで発生する多環芳香族炭化水素誘導体の分布,越境輸送および生体影響
Project/Area Number |
24406001
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
亀田 貴之 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (50398426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大山 正幸 大阪府立公衆衛生研究所, その他部局等, 主任研究員 (40175253)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | PAH / 越境汚染 / 大気汚染 / 東アジア / 黄砂 |
Research Abstract |
本研究は,中国・韓国を含む東アジア地域における大気中多環芳香族炭化水素(PAH)誘導体,とりわけ,呼吸器・循環器疾患やアレルギー疾患増悪作用を有する酸化PAH(OPAH)や,発がん性を有するニトロ化PAH(NPAH)等について,①発生レベル・濃度分布を実大気観測によって明らかにすること,②それらの日本への越境輸送について明らかにすること,③越境輸送中の反応によるPAH誘導体の変質・二次生成過程を明らかにすること,更に,④それらPAH誘導体によって引き起こされる生体影響について検証することを目的としている。 本年度は大陸からのPAH越境輸送を明らかにするため,地域汚染の影響が少ない石川県輪島市でPAHを含む粒子(PM1.1)を採取し,炭素成分および炭素安定同位体測定を行った。δ13CとOC/EC比およびWSOC/EC比の間には,それぞれ強い負の相関がみられた。δ13Cは12月末と3~4月にかけて高い値を示す期間があった。また,中国の暖房使用が終了すると思われる5月からOC/ECの上昇がみられたことからも,冬季から春季にかけてのδ13C上昇は大陸からの越境汚染,特に石炭燃焼の由来の炭素質の影響によるものと考えられた。 黄砂上で生成するPAH誘導体生態影響調査の一環として,黄砂の主成分であるシリカ粒子に対するマクロファージの活性酸素反応を鉱物繊維を陽性対照として調べた結果,マクロファージの活性酸素反応は,鉱物繊維では長さに依存して産生能が亢進したように,シリカ粒子の直径に依存して産生能が亢進した。但し,シリカ粒子の直径より鉱物繊維の長さの方が8倍程度その作用が強かった。また,シリカ粒子を800度で加熱処理するとその産生能が43%に低下した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り炭素成分および炭素安定同位体測定を遂行できたことに加え,生体への影響を定量的に評価することが可能であったことなど,おおむね見込どおりの研究成果をあげることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に引き続き,東アジア各地域において大気試料を捕集し,試料中のPAH誘導体分析を行うとともに,大気試料捕集時における捕集地点の気塊についての後方流跡線解析と,炭素同位体比分析による起源解析を行う。また,引き続き大気試料に対するバイオアッセイ等を行い,生体影響評価のための基礎データとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初は東アジア諸国における観測のために現地へ赴くことを予定していたが,現地協力者による試料サンプリングとサンプルの輸送によるやりとりで大部分が対応可能となったことにより,外国旅費が節減される結果となった。 次年度は状況を鑑みた上で現地へ人員を派遣することを検討しており,当該助成金はそのための外国旅費の一部に充てることを予定している。また,本研究成果をさらに発展させるために,サンプリング試料のより詳細な分析を,外部分析機関への委託により行うことを計画している。
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Research Products
(24 results)
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[Journal Article] Factors affecting atmospheric 1-, 2-nitropyrenes and 2-nitrofluoranthene in winter at Noto peninsula, a remote background site, Japan2014
Author(s)
N. Tang, K. Sato, T. Tokuda, M. Tatematsu, H. Hama, C. Suematsu, T. Kameda, A. Toriba, K. Hayakawa
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Journal Title
Chemosphere
Volume: 107
Pages: 324-330
DOI
Peer Reviewed
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