2013 Fiscal Year Annual Research Report
住民負担の少ない尿診断と媒介蚊調査による糸状虫症根絶の確認と再燃の早期発見
Project/Area Number |
24406014
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 誠 愛知医科大学, 医学部, 教授 (90137117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平山 謙二 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (60189868)
濱野 真二郎 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (70294915)
高木 秀和 愛知医科大学, 医学部, 講師 (90288522)
砂原 俊彦 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (50264156)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 糸状虫 / 尿診断 / 媒介蚊 / LAMP |
Research Abstract |
尿を検体とする免疫診断法と媒介蚊の感染を容易に検出できるLAMP法の併用により、最終的には、住民の負担(採血や日常生活の障碍)を最小限に抑え、「尿と蚊」による、フィラリア症の根絶・再燃の確認が出来るシステムを構築することを目的とする。今年度の調査により、以下の点を明らかにできた。 (1)スリランカのフィラリア症流行地での媒介蚊の調査:フィラリア症流行地でありこれまで調査を継続してきたスリランカ南部のマタラ地区で、毎月1回、Gravid Trapを用いた媒介蚊の採取を継続している。25年度に採取された媒介蚊のCulex quinquefasciatusを、合計6,900匹の蚊を20匹ずつを1つのグループにまとめ、DNA抽出後、PCR、LAMP法でフィラリアDNAの検出を試みた。このうち、2,000匹については顕微鏡下でWuchereria bancroftiの幼虫を検査したのち、DNA抽出に用いた。その結果顕微鏡下では1匹の幼虫を検出されなかったが、PCRでは17グループが、LAMPでは15グループが陽性となった。詳細な解析が進行中である。 (2)尿中抗フィラリアIgG4抗体の迅速測定のための現地測定施設の整備:WHOによるフィラリア症対策が進行中であり、対策評価が迅速にできる必要がある。これまで尿検体を日本へ運搬して測定していたが、現地で正確な測定のできる施設を設けることによりこれが可能になる。現地の研究協力者であるルフナ大学のYahathugoda博士の協力を得て、彼の研究室の一角に測定施設を設けることができた。 (3)スリランカのフィラリア症流行地周辺での新たなEndemic fociの調査:住民の情報をもとに流行の可能性があるところの小学校で小学生より尿検体を集めた。現地において抗体を測定中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで遅れていた、フィラリア媒介蚊の調査を一気に推し進めることができた。研究室でのPCR、LAMP法の基礎的研究で得られた方法を用い、7,000匹近い媒介蚊の検査が短期間で終了できた。尿中抗体測定施設を現地に設けることができ、測定の迅速化を図ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)新たな流行地の発見を目的として、これまで紛争があり調査がなされていないスリランカ東部において、我々が築き上げた調査方法、つまり質問票を使った予備調査による調査地の選定と、小学生の尿中抗体調査を行う。(2)媒介蚊の調査を継続する。(3)フィラリア症根絶に関わる数学モデルを構築する。(4)象皮病の遺伝的背景を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
補助金ならびに助成金は適正に支出されたが、当初の予定より効率よく研究が進み、上記の額が繰り越しとなった。 採取した蚊からフィラリアDNA検出するための、消耗品費に組み入れる予定である。
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Research Products
(11 results)