2012 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアにおけるピロリ菌分子疫学研究:新規病原因子の探求と人類移動の解明
Project/Area Number |
24406015
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
山岡 吉生 大分大学, 医学部, 教授 (00544248)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ヘリコバクター・ピロリ / 分子疫学 / 胃癌 / 東南アジア / 細菌 |
Research Abstract |
本事業では、特に今まで研究がなされなかったミャンマーおよびインドネシアに焦点を当てて、1)ピロリ菌によって引き起こされる胃癌発生リスクの予測、2)アジア諸民族の移動経路の解明という2つの命題に取り組むことを目標とした。本目的のために、アジア各国での共同研究を確立して、サンプル採取および解析を行なう計画を立てた。平成24年度は、ミャンマーでは、政権の交代に伴い内視鏡検査の申請の更新などが必要となったため、疫学調査は平成25年度に行なう計画に変更した。一方、インドネシアでは、平成24年4月27日~5月6日および8月8~14日に訪問し、スラウェシ島のマナド近郊およびジャワ島のスラバヤで調査を行なった。マナド近郊では胃ブラシを用いて菌体の採取に成功、スラバヤでは、アイルランガ大学の共同研究者と合同で内視鏡検査を行なった。 また、平成24年7月11~21日には、ベトナム北部ラオカイ近郊の村で26名の少数民族に、内視鏡検査を施行、さらに中部フエを訪れ、新しい共同研究の打ち合わせを行なった。また平成24年9月21~24日にはベトナム中央高原のダクラック地域でも少数民族227名に内視鏡検査を施行した。さらに、平成24年12月9~12日には、ネパールのカトマンズでも36名に内視鏡検査を行なうことができた。現在、これらの検体の解析を、主に、インドネシアおよびベトナムから大分大学に国費留学生として来日中の大学院生が行なっており、地域によって特異的なピロリ菌が存在することが判明している。例えば、ダクラック地域のピロリ菌は今までに見つかったことのない新種のピロリ菌である可能性が高い。なお、ベトナムでの内視鏡検査では、ピロリ菌陽性者には、無料で除菌薬を配布し、社会貢献を果たすこともできた。このように当初の予定を超えて、ベトナムやネパールというミャンマーおよびインドネシア近郊の国に1年目で調査を行えたことは意義深い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ミャンマーでは、疫学調査は平成25年度に行なう計画に余儀なく変更することになったが、現在手続きもほぼ終了し、平成25年に調査ができることとなった。1年目でミャンマーでの調査ができなかったことは、予定以下であったが、当初の予定を超えて、ベトナムやネパールに1年目で調査を行えたことは意義深く、さらにバングラディシュなどからも共同研究の熱望があり、総合的に、当初の計画以上に進んでいると確信する。
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Strategy for Future Research Activity |
ミャンマー、インドネシア、ベトナムへの疫学調査、さらに範囲を拡大して、バングラディシュやネパールでの調査を計画している。これらで得た検体は、既存の病原因子の検索、MLST,次世代シーケンサーを用いた解析を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画では、疫学調査の旅費や検体採取のための消耗品がかなり必要と考えていたが、これらの資金は組織的若手研究者派遣プログラムや大分大学の学長裁量経費で賄うことができた。しかし、これらの資金は平成24年度で終了したため、今年度は、すべての疫学調査の資金は、本研究費で捻出する必要がある。今年度は、当初の予定通り、ミャンマー、さらにインドネシア、ベトナムへの疫学調査を予定しているが、さらに範囲を拡大して、バングラディシュ、ネパールなどの調査も繰越金を用いることで、可能と考えている。
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Research Products
(32 results)