2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24406037
|
Section | 海外学術 |
Research Institution | Japanese Red Cross College of Nursing |
Principal Investigator |
グライナー 智恵子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 准教授 (20305270)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 雄司 京都文教大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10238230)
磯和 勅子 三重大学, 医学部, 教授 (30336713)
東浦 洋 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (00468886)
岡本 菜穂子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 講師 (30553565)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 高齢者 / 認知症 / 国際比較 / タイ / スウェーデン / 急性期病院 |
Research Abstract |
平成25年度は、第一段階として、急性期病院における高齢者ケアと認知症ケアに関する調査の実施に向け、文献検討及び3か国の共同研究者との話し合いによりコンセンサスの得られた調査の枠組みに従って質問項目の作成と洗練を行い、質問紙のドラフトを完成させた。次に日本において予備調査を実施し、質問紙の構成と質問項目内容、文章表現の適切性等について再検討し、質問紙の最終版を完成した。第二段階では、質問紙をタイ語とスウェーデン語に翻訳し、これを各国のネイティブ共同研究者が原本と比較検討しながら修正し、タイ語/スウェーデン語質問紙の最終版を完成させた。第三段階では、日本での質問紙調査を実施した。タイ、スウェーデンでは首都と地方都市の医療水準や環境が異なるという事情を考慮し、調査を実施する急性期病院はそれぞれ東京、バンコク、ストックホルムから選択することに決定した。日本では東京都内の14病院から協力が得られ、計1071の質問紙を配布した。このうち362名の看護師から回答を得た(回収率33.8%)。収集されたデータから、まずは国内における高齢患者と認知症患者のケアの現状について比較検討した。比較した内容は、アセスメント、看護実践、患者への態度、環境への配慮、プライバシーの確保、家族への配慮であり、いずれも5%水準で有意差が認められた。アセスメントにおいては認知症患者に対する実施状況が有意に高かったが、患者への態度、プライバシーの確保、家族への配慮においては認知症患者に対する実践状況が有意に低いという結果が得られた。また、認知症に関する講習会へ参加した看護師は、参加しない看護師よりも有意に認知症に関する知識があり、また有意にBPSD予防ややりがいを持った看護実践を行っていた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、急性期病院の高齢者ケアと認知症ケアに関する質問紙の作成、タイ語とスウェーデン語版質問紙の作成、予備調査と本調査の実施を予定していたが、これは年度内に適切に実施された。したがって、本研究は順調に進展していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は新たに各国の若年層に対する意識調査の実施とコミュニティ調査の基盤を整える予定である。各国研究者との調整を円滑に行うため、研究代表者を中心としてタイ及びスウェーデンそれぞれの研究者との直接対話を推進していく。また、今年度の調査も平成25年度の調査と同様の手続きを行うことにより研究の円滑化を図っていく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の経費は、日本、タイ、スウェーデン3か国すべての調査費用として申請を行っていた。しかし、タイ、スウェーデンでの調査実施は、翻訳や各国での研究倫理審査承認の必要性から、日本の調査実施より数か月遅れてのスタート(平成26年度の実施)となった。これにより次年度使用額が生じた。 平成25年度に日本で終了した調査を現在タイとスウェーデンで実施しているところである。次年度使用額は主にこの2か国での調査費用とするが、残額が生じる場合は平成26年度に予定している調査費用の一部として使用していく。
|