2013 Fiscal Year Research-status Report
超臨場感遠隔手術訓練環境構築のための適応的・階層型埋込み柔軟物体表現と可視触化
Project/Area Number |
24500158
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
田川 和義 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, 准教授 (40401319)
|
Keywords | バーチャルリアリティ |
Research Abstract |
本研究では,遠隔多地点間にて,高精細(最高分解能1[mm] )・大規模(ノード数30万以上)な仮想柔軟体(複雑な脈管分布構造を持つ臓器)を共有可能,かつ視力覚的な相互インタラクションを可能とする,遠隔手術訓練環境の基盤技術の確立を目標としている. 昨年度は,適応的埋込み変形モデルの開発を行ったが,線形有限要素法を用いて変形を算出していたため,十分な効果が発揮できない問題点があった.そこで,本年度は,効率的な処理が可能な非線形変形モデルとして,共回転系変形モデル(適応的メッシュの直方性・階層構造を利用した高速化を図っている)を採用し,適応的埋込み変形モデルと併用するための準備を進めた.まず,共回転系変形モデルにおいて,四面体の回転成分の抽出処理を行う階層を自動決定するための判断指標を考案し,実装・評価を行った.次に,適応的変形モデルおよび昨年度開発した共回転系変形モデルを併用したシミュレーション処理をGPU上で効率良く処理するためのアルゴリズムの検討を開始した. さらに,適応的・階層型埋込み変形モデルに対する外科手技インタラクションにおいては,先行研究(効率的な干渉検出手法)の調査,適応的埋込み変形モデルに対する動摩擦・静止摩擦を伴う面接触計算の検討を行った. 加えて,適応的埋込み変形モデルの共有手法の検討を行った.研究代表者の従来の手法では,各計算機のスペックの善し悪しに寄らず,全ての計算機にて同一解像度のモデルを使用することを前提としており,計算の遅れに起因する変形の相違の解消が必要であった.そこで,本年度は,各計算機のスペックに見合った解像度のモデルをそれぞれ使用する場合においても,整合性の取れた共有を可能とする方法を考案した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
変形シミュレーションにおいては,研究の成果を国際会議等に投稿して採録となっており,当初の想定通りに進展している.外科手技インタラクションおよび適応的埋込み変形モデルの同期方法については,手法の検討・考案を行うとともに,実験環境の構築を進めている.
|
Strategy for Future Research Activity |
適応的・階層型埋込み変形モデルの開発においては,GPUに適した変形計算アルゴリズムの考案・実装を行う.GPUの独特の構造である,多数のストリームプロセッサ,およびプロセッサ・メモリ間の太いメモリバスを活かすためには,従来の分散メモリ型の並列計算機とは異なる並列処理アルゴリズムが必要となる.さらにオンラインリメッシュによって発生する不連続なメッシュ情報データが,変形計算処理のボトルネックとなる.そこでメッシュ情報データをリロケータブルなデータ構造に格納するとともに,このデータを利用した効率的な埋込み変形計算手法を確立・実装する.加えて,変形状態の埋込み柔軟物体のサーフェス情報を,柔軟物体の内部空洞や変形特性を考慮しながら,GPU上で実時間生成する手法を考案・実装する. 適応的・階層型埋込み変形モデルとの外科手技インタラクションにおいては,引き続き,適応的埋込み変形モデルに対する接触計算の検討・実装を行うとともに,GPUに適した,埋込み変形モデルに対する反力計算手順を検討する. インタラクションの同時性の共有機構においては,これまで考案した手法の実装・評価を行うとともに,GPU上での変形計算との連携を図る.適応的埋込み変形モデルの同期処理の結果を,GPU上に保持されている変形モデルのデータに反映させるための,効率的な連携インタフェースを設計・実装する. 以上の手法の評価を忠実性とユーザの感性の両面から行う.埋込み変形モデルの変形や反力について,変形・反力の精度や現実感を検証する.遠隔共有においては,各地点間の反力・変形の誤差,遠隔インタラクションの現実感および遅延との関係,本システムによって達成される遠隔協働作業の操作性について評価を行う.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度に引き続き,本年度もアルゴリズムの検討およびプロトタイプの実装・評価に注力したため. 次年度は,これまでに開発した適応的・階層型埋込み変形モデルのシミュレーション処理をGPU上で効率的に行うためのアルゴリズムの検討・実装・評価を行うために,「ハイパフォーマンス計算システム」1式を必要とする.このシステムには,「ハイパフォーマンス計算拡張ボード」1式を搭載する.速報性を重視し研究成果を国際会議で発表するための旅費や,関連する手法を調査するための書籍代も必要とする.
|
Research Products
(14 results)