2013 Fiscal Year Research-status Report
念じた文字を出力できるブレイン・コンピュータ・インタフェースの開発
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24500163
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉村 奈津江 東京工業大学, 男女共同参画推進センター, 助教 (00581315)
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Keywords | ブレイン・コンピュータ・インタフェース / 機能的MRI / 脳波 / 逆問題 |
Research Abstract |
前年度の検討で、母音の音声を聴かせた後に被験者がその音声をイメージした時の脳活動データ(機能的核磁気共鳴画像法(functional magnetic resonance imaging, fMRI)データ)を用いれば、どの母音をイメージしているかをfMRIデータから判別できる可能性が示された。この結果を発展させ、今年度は本来の目的である皮質信号源電流を用いた検討を行った。 皮質信号源電流とは、頭皮に装着した電極から記録される脳波信号が、脳皮質内に存在する無数の神経細胞の活動が脳脊髄液、頭蓋骨、頭皮を通って電極から合成波として記録されたものであるとの考えに基づき、脳皮質上の脳波信号源から発生している電流のことを意味している。皮質信号源電流の推定にはコンピュータを用いた機械学習的手法が必要であり、推定精度を高めるため、本研究ではfMRIデータ解析結果を補足的に用いて皮質信号源電流を推定する階層的変分ベイズ法を用いた。これにより、脳波の高い時間分解能とfMRIの高い空間分解能を兼ね備えた脳活動デコーディングが実現することが期待できる。 今年度の検討で脳波信号のみを用いた場合と推定した皮質信号源電流を用いた場合とで2種の母音イメージ中の脳活動判別率を比較した結果、脳波よりも信号源信号を用いた方が判別率が向上することが確認された。この成果の一部は研究会にて発表を行った。 次年度ではより高い判別率となるような最適な信号源推定条件を検討し、学術論文への投稿を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究における研究計画は以下の4点であった。①皮質信号を用いることで脳波よりも2母音の判別精度が高くなるかを確認する。②2母音の判別成功率の比較を通して、最も効果的なイメージ法(音、口の動き、文字の形など)を明らかにする。③推定した皮質信号全てを利用して判別を行うと非効率なため、判別に必要な領域の皮質信号に限定して判別が行える可能性を調べる。④母音と子音に特有の音声や舌や唇の動きを利用して、子音も含めて判定が行える可能性を検討する。 今年度までの取組みで、計画①~③までは概ね確認できたと考えられ、最終年度の次年度では主に計画④について検討していく予定であることから、おおむね順調と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの達成度の項で述べたように、今後は計画④の「子音を含めて判定が行える可能性」について検討していく。また計画③の「判別に必要な領域の皮質信号を限定して判別が行える可能性を調べる」という取組みについては、より詳細な条件出しを検討する。さらに、これまでは2母音での検討を中心に行っていたが、5母音での判定も検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度出産のため海外学術会議への渡航費が使えなくなったことを受け、解析用計算機としてApple社のMacProを購入することとしたが、納期が長く、25年度中の納品が不可能となった。 また、育児の状況を考慮し、前年度に引き続き海外で開催される学術会議の参加を控えることとした。 上述したMacProに加え、脳画像解析および論文作成に必要となるアプリケーションソフト、簡易脳波計測に必要な物品購入を検討している。また、現段階で成果発表として学術雑誌への投稿を2報予定しているため、その投稿料に使用する他、実験に係る謝金、消耗品などに用いる。 育児の状況に応じて国際学会および情報収集のための海外出張も考えたい。
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Research Products
(3 results)