2012 Fiscal Year Research-status Report
ルールアブダクションとアナロジーによるスキル創造支援
Project/Area Number |
24500183
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kaetsu University |
Principal Investigator |
古川 康一 嘉悦大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10245615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金城 敬太 東京理科大学, 経営学部, 助教 (20611750)
原口 誠 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (40128450)
藤波 努 北陸先端科学技術大学院大学, その他の研究科, 准教授 (70303344)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | スキルサイエンス / アブダクション / アナロジー / スキル創造支援 |
Research Abstract |
スキルグループ,アブダクショングループに分けて研究を実施した. (1)スキルグループで取り上げたテーマは,以下の通りである. 1.音楽家のためのアレクサンダー・テクニーク入門,2.仙骨姿勢講座,3.わざ言語,4.多関節筋.同時に,全体計画の(1)「コツの収集,分類,および,論理構造の抽出」に関連して,身体知研究者とプロのチェリストとの間で,主として運弓動作における体の使い方に関して,論争・協調の研究活動を継続して実施した.その手法として,メタ認知をベースにしたインタラクティブインタビュー法を採用し,数回にわたる実験を実施し、論文にまとめた.また,同計画に関連して,わざと言語の関係を教えの場において考察した結果をまとめ、発表した.そのほか,和太鼓演奏,ダンスやジェスチャー,サンバ演奏,空手などの動きの分析,意味あるいは間の考察などを行い,その成果を5編の論文にまとめた. (2)アブダクショングループでは,アブダクションエンジンSOLARにアナロジーを取り入れる方法を検討した.SOLARにアナロジーを組み込む方法として,ルールアブダクションを実現するためのメタレベル-オブジェクトレベル推論を結びつける因果関係述語を拡張して実装する着想を得た.因果関係述語にアナロジー公理を付け加え,そこでアナロジーのベース,ターゲット,その間を結びつける類比を表現し,アナロジーを組み込んだアブダクションエンジンの構築に成功した.実際の応用問題として,スピッカートを習得するために有用な強制振動系とのアナロジーをこれらの述語を用いて表現し,アナロジーを使って欠落したルールを補うルールアブダクションに成功した.これらにより,従来のアブダクションによるルール仮説の導入に対して,その意味をアナロジーによって解釈し,強化するような推論方式を実現することができた.同結果を論文にまとめ国内学会において発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本プロジェクトの中心的テーマは,アナロジカルアブダクションシステムの構築並びにそのスキル創造支援への応用であるが,これまでに,アブダクションエンジンSOLARにルールアブダクションを実現するためのメタレベル-オブジェクトレベル推論を結びつける因果関係述語を拡張して実装する方式を思いつき,因果関係述語にアナロジー公理を付け加え,そこでアナロジーのベース,ターゲット,その間を結びつける類比を表現し,アナロジーを組み込んだアブダクションエンジンの構築に成功した.また,その実証実験として,スピッカートを習得するために有用な強制振動系とのアナロジーをこれらの述語を用いて表現し,アナロジーを使って欠落したルールを補うルールアブダクションに成功した.これらにより,従来のアブダクションによるルール仮説の導入に対して,その意味をアナロジーによって解釈し,強化するような推論方式を実現することができた.こられの成果は,本プロジェクトの骨格をなすものと考えられ,初年度の成果としては十分であると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
研究テーマ(1)「コツの収集,分類,および,論理構造の抽出」については,コツを分類する際の分類軸を決める.さらに,わざの習得における「イメージ」の果たす役割に焦点を当てて議論を深める. 研究テーマ(2)「対象動作からの生体力学的アナロジーパターンの抽出」については,対象動作を「高速移弦と弓の返しの同時実行」,「装飾音符」として,その検討を進める.研究テーマ(3)「日常動作からの動作学的アナロジーパターンの抽出」については,多関節筋の作用を組み込んだモーションプランニングシステムを設計・実装し,規範動作と類似した「しなやかな動作」を合成可能なことを示す. 同時に,サンバリズムの奏法に関して,トポロジカルな視点での記号化によって奏法間の類似性を測る手法を開発する.研究テーマ(4)「アナロジーを組み込んだルールアブダクションエンジンの試作」に関しては,アナロジーの公理系を整備するとともに,仮説の選好のより肌理の細かい評価基準の導入と実験を行う.非単調論理による仮説の選好制御の可能性も探る. 研究テーマ(5)「具体例への本アブダクションエンジンの適用とその評価」に関しては,研究テーマ(4)の試作の完了を待って, 「高速移弦と弓の返しの同時実行」,「装飾音符」の両課題に対して予備実験を行う.研究テーマ(6) 「得られたコツの有効性を示す練習方法の提案」に関しては,アナロジーから得られたヒントを参考に,動きを喚起する「イメージ」を構築する.また,並行して,アブダクションによる練習計画の自動生成アルゴリズムの検討を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の使用に関しては、引き続いて研究推進のために数回のミーティングを開催するとともに、海外での成果の発表、研究連絡のための分担者の移動のための旅費がその費用の大部分を占めると予想される。そのほか、インタラクティブインタビューの実施に伴う支出、および、小規模な実験のため支出などが考えられる。また、引き続いて、文献調査を行うため、文献図書購入のための支出も予定している。
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Research Products
(15 results)