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2012 Fiscal Year Research-status Report

質感についての記憶構造とその感性効果

Research Project

Project/Area Number 24500254
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionChiba University

Principal Investigator

小林 裕幸  千葉大学, 融合科学研究科(研究院), 教授 (60134350)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords記憶質感
Research Abstract

◆表面の形状(粗さ)の測定:「記憶質感」を調べる種々の物の表面形状を粗さで測定した.表面が柔らかい物についても測定を行なうため、非接触の3次元形状測定システムを用いた。
◆質感の定量化:質感の定量化は質感が定量化されている質感サンプルとの比較(質感マッチング)により行った。質感サンプルには、実物大のその物の写真プリントに異なるレベルのノイズを加えたものを用いた。写真の場合,質感はRMS粒状度で定義されており,それにより質感を定量化した.写真に付加するノイズの種類については、ホワイトノイズ、1/fノイズから、被験者の記憶質感によりマッチしたものを選択してもらい、評価に用いた。
◆「実物質感」、「記憶質感」の定量化(質感マッチング):被験者によく知られたジャガイモ、段ボール、ティッシュペーパー、新聞紙、割り箸、タマネギ、木の板、といった質感の様々な物について実験を行った。今回、実物を見ないで、その物から思い出す質感を「長期記憶質感」、実物を見ながらsimultaneous質感マッチングにより得られる質感を「実物質感」、そして、この実験に引き続き行われる、物を見ないで記憶の質感と一致する質感サンプルを選ぶsuccessive質感マッチング実験により得られる質感を「短期記憶質感」と定義した。
◆質感の記憶構造の知見獲得:「実物質感」と「記憶質感」を被験者ごとに、物ごとにそれらを比較することで質感についての記憶構造の知見を獲得した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

短期記憶質感と長期記憶質感の実物質感との関係を得ることができた。新聞、割り箸、タマネギは実物質感より記憶質感の方が粒状感が増大している。一方、ジャガイモ、木の板、ティッシュ、段ボールは記憶質感の方が小さい。これらの結果には規則性がないと言っていいだろう。記憶色においてもカラーパッチで実験すると、記憶色の方が実物の色より彩度が大きくなるという規則性が観察されているが、objectsの色についてはこのような規則性は見られなかったことが報告されており、これと共通する特性と言えよう。
すべてのthe objectsについて実物質感、記憶質感共にオリジナル画像に粒状を付加した画像を選んでおり、画像となったobjectsの質感は粒状感が小さいことを示唆している。
ジャガイモと割り箸についての記憶質感と好ましさとの関係についての知見を得ることができた。調べたすべての物について、おおむねオリジナル画像よりも適度にノイズが付加されたRMS5およびRMS10のサンプルの方が高い好ましさを示している。
質感の異なるいくつかの対象物について、記憶質感が実物を見ながらの質感と異なるということが確認された。強度において実物質感と記憶質感との間に規則性はみられなかった。しかし、記憶質感の粒状度とそのobjectの好ましい画像の粒状度の間には明確な相関がみられた。このような知見が得られたことから、研究の目的はおおむね順調に進展していると判断される。

Strategy for Future Research Activity

◆好ましさ、鮮鋭性の調査:いろいろなレベルのノイズを付加した写真について質感という観点からの好ましさ、および鮮鋭性を評価してもらう。付加するノイズの種類の影響についても評価実験を行う。評価法は正規化順位法による。
◆感性効果の機構解明:「実物質感」、「記憶質感」のデータと比較検討することで、この感性効果のメカニズムを解明する。鮮鋭性向上効果については、先行研究において、パワースペクトルが感性解像度の限界程度の高周波領域まで大きく下がらない物についてのみ観られており(T. Kurihara, N. Aoki, H. Kobayashi, Journal of Imaging Science and Technology, 55, 030504(2011) 、パワースペクトルのデータを合わせて検討する。
◆「実物質感」、「記憶質感」データベースの作成:24年度に確立された方法に従って、多くの物について表面粗さ、「実物質感」、「記憶質感」のデータベースを作成する。「記憶色」では世代(小林美智代,棟方明博,鈴木恒男,岩崎晶子,日本色彩学会誌,15,17(1991))、性別(M.Yamamoto, Y-H Lim, X.Wei, M.Inui, H.Kobayashi, Imaging Science Journal, 51,163(2003))、国・地域(上のYamamotoらの論文に同じ)などといったグループごとに違いが観られた。質感でもこのようなグループに分けてデータを収集する必要がある。
◆「記憶質感」自動付加システムの構築:ここで作成したデータベースを活かし、被写体の「記憶質感」に基づき粒状度を自動的に調節する画像処理システムを構築する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

直接経費80万円のうち、研究発表のための費用が大きな割合を占める。研究発表会参加への旅費が20万円、論文投稿料に40万円を予定している。また、実験補助の謝金に20万円を充てる予定である。

  • Research Products

    (8 results)

All 2012 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (7 results)

  • [Journal Article] 油絵に最適な調子再現2012

    • Author(s)
      耿競
    • Journal Title

      日本写真学会誌

      Volume: 75 Pages: 389-395

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 粒状付加によるシャープネス向上効果2012

    • Author(s)
      万夏子
    • Organizer
      映像情報メディア学会年次大会
    • Place of Presentation
      広島
    • Year and Date
      20120829-20120831
  • [Presentation] 質感についての記憶構造とその感性効果2012

    • Author(s)
      陳晨
    • Organizer
      映像情報メディア学会年次大会
    • Place of Presentation
      広島
    • Year and Date
      20120829-20120831
  • [Presentation] 筆触における画家らしさの定量化2012

    • Author(s)
      小林裕幸
    • Organizer
      日本写真学会年次大会
    • Place of Presentation
      千葉
    • Year and Date
      20120529-20120530
  • [Presentation] 写真と絵画の境界2012

    • Author(s)
      野田斉
    • Organizer
      日本写真学会年次大会
    • Place of Presentation
      千葉
    • Year and Date
      20120529-20120530
  • [Presentation] 画像感性空間の構築~感性語を用いた画像印象変化の評価

    • Author(s)
      鎰谷賢治
    • Organizer
      日本写真学会秋季大会
    • Place of Presentation
      京都
  • [Presentation] 画像感性空間の構築~画像感性空間の構築と手法の検証

    • Author(s)
      鄧珮
    • Organizer
      日本写真学会秋季大会
    • Place of Presentation
      京都
  • [Presentation] 写真集の電子化による印象変化について

    • Author(s)
      上野裕理
    • Organizer
      日本写真学会秋季大会
    • Place of Presentation
      京都

URL: 

Published: 2014-07-24  

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