2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500331
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
生塩 研一 近畿大学, 医学部, 講師 (30296751)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 時間認知 / 時間知覚 / 大脳生理学 / 電気生理学 / 前頭前野 / 線条体 / 大脳基底核 / 霊長類 |
Research Abstract |
私はサルを使って、脳が時間の長さをどうやって計っているのかを調べている。注目している時間長は数百ミリ秒から2秒である。本研究課題の最大の特徴は、時間の長さを呈示するのに視覚刺激と聴覚刺激の両方を用いている点にある。呈示時間を与える視覚刺激には時間的に変化しない色のついた図形(緑色の四角形)を、聴覚刺激にはスピーカからの2,000Hzの純音をそれぞれ採用した。ボタン押しでタスクが開始され、1番目の時間長(視覚刺激か聴覚刺激)、1秒の遅延、2番目の時間長(視覚刺激か聴覚刺激)の順に呈示。その後、1秒の遅延を経て(D2期間)、青色と赤色の四角形を左右にならべて同時に表示し、長い方の時間長にあたる色を選択すると正解とした。青色と赤色をそれぞれ1番目と2番目の時間長に関連づけるようトレーニング済みである。なお、呈示する時間長の長短の順や、視覚刺激と聴覚刺激の別はランダムとした。一つの試行で呈示する時間長の感覚種(視覚/聴覚)の組み合わせは4通りあり、トレーニングは予想外に時間がかかったものの、実験動物はどの組み合わせでも時間長の区別できるようになった。ニューロン活動データは前頭前野から細胞外記録法により単一細胞レベルで記録した。データ解析の結果、まず、刺激呈示期間については、視覚刺激に応答するニューロンが多く、視覚と聴覚の両方に応答するニューロンは、聴覚のみに応答するものと同程度しか検出されなかった。また、D2期間でも、どちらかの感覚種だけに応答するニューロンが多数見付かった。前頭前野には、5つの感覚種の全ての情報が集まることが分かっており、感覚種に依存しない物理量である時間長は感覚種の情報が取り除かれて情報処理されることも考えられたが、現時点ではそれに否定的なデータが集まっている。研究成果は、第35回日本神経科学大会(名古屋)や、第90回日本生理学会大会(東京)で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り、実験動物のトレーニングが完了し、ニューロン活動記録実験まで進めたので、「おおむね順調に進展している」とした。ただ、トレーニングに時間がかかりニューロン活動記録実験は充分には進められなかった反省点もある。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度には、時間弁別課題をトレーニング済みの実験動物でニューロン活動記録実験を進めてデータの蓄積に努めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
視覚刺激と聴覚刺激の両方を用いるという新規な実験で、実験動物のトレーニングに時間がかかりニューロン活動記録実験が思ったより進まず消耗品があまり必要でなかったことなどから次年度使用額が発生した。次年度はニューロン活動記録実験で使う消耗品の購入に充てたい。
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Research Products
(4 results)