2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500343
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
若木 宏文 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90210856)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ランダム効果 / 共分散構造 / 平均構造 / パラレルプロファイルモデル |
Research Abstract |
当該年度の研究計画は (a) ランダム効果モデルにおける情報量基準の構築 (b) 一般化推定方程式におけるQIC 基準の精密化である。 (a) について、応用上有用であり、かつ、ランダム効果がひとつで、扱いやすいと思われるパラレルプロファイルモデルにおいて、情報量基準の構築を目指した。ランダム効果を持つパラレルプロファイルモデルに関しては、Yokoyama and Fujikoshi (1993, JJSS) は、ランダム効果の仮定した共分散構造を持つという条件下でのパラレルプロファイルモデルの尤度比検定(ある平均構造に関する尤度比検定)を導出し、ランダム効果の導入によって導かれる共分散構造の仮定によって検定の検出力が大きくなることを示した。一方、Yokoyama (1995, AISM) は、Yokoyama and Fujikoshi の前提条件である共分散構造に関する尤度比検定統計量とその極限分布を導出した。ランダム効果を持つパラレルプロファイルモデルの仮説検定問題としては、共分散構造の検定と共分散構造を前提とした平均構造の検定が導出されているが、平均構造と共分散構造の同時検定問題は未だ取り扱われていない。そこで、情報量基準の前に、問題を一般化して正規母集団に関する平均構造と共分散構造の検定統計量のクラスを考え、その帰無仮説のしたでの分布の漸近展開の導出を行った。得られた結果は、情報量基準の構築においてリスクの推定量としての最大対数尤度比の漸近偏差の評価に応用される。 (b) に関しては、指導している大学院生が成果を得、単著として投稿中なのでここでは報告しない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(b) に関しては、指導学生の努力により当初目的とする成果が得られた。 (a) に関して得られた結果は、正規母集団からの独立標本による平均構造と共分散構造の同時検定であるが、ランダムプロファイルモデルに応用するには、回帰モデルにおける平均構造と共分散構造の同時検定として、さらに拡張する必要がある。情報量基準の導出のためには、ランダム効果がない場合の最大対数尤度比や未知母数の推定量の漸近分布の導出お行う必要がある。より詳細に述べると、ランダム効果を表す確率変数の分散をλとすると、λは0以上の値をとる未知母数であるが、λ>0 の場合の分布の漸近展開導出は当該年度に用いた手法と同ように行えるが、λ=0 の場合には、約2分の1の確率で対数尤度比が母数空間の端点で最大となるため、漸近展開の導出に工夫が必要となる。Yokoyama (1995) はλ=0 の場合に尤度比検定がある変数の正負によって、異なる2つの確率変数のどちらかになることを用いて、対数尤度比検定統計量の極限分布を導出しているが、さらに漸近展開を求めるため、鍵となる3つの統計量の同時分布の漸近展開の導出が必要となる。現時点で、その同時分布の漸近展開導出の途中である。したがって、年度計画から見た(a) の達成度としては、当初予定の4割程度と考えられ、(a),(b)合わせて7割である。
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Strategy for Future Research Activity |
到達度評価で記述したように、ランダム効果を持つパラレルプロファイルモデルなどのモデル選択にも応用できるように、多変量回帰モデルの平均構造と共分散構造に関する同時検定統計量の分布の近似の導出、ランダム効果がない場合での尤度比検定統計量の分布と、未知母数の分布の分布の漸近展開を導出し、情報量基準の構築を行う。 その後、ランダム効果を持つパラレルプロファイルモデルの一般化として、正規線形混合モデルにおける仮説検定統計量や未知母数の漸近分布の導出、および情報量基準の導出に取り組む。正規線形混合モデルでは、一般にランダム効果項が複数となるため例えば、尤度比検定統計量は、複数の不等式によって条件付けられた分布となる。まずは、多変量の単回帰で、切片項と回帰係数を共にランダム効果とした場合を扱う。 一方、通常の多変量線形回帰モデルに対しても、高次元・大標本の枠組みでの情報量基準の漸近性質に関しても未解決問題があるので、その解決にも取り組みたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
導出する分布の漸近展開公式の近似精度や、情報量基準のリスクの推定量としての偏差とモデル選択確率の評価のため数値実験を行う必要があり、そのため、パーソナルコンピュータと必要なソフトウェアを購入する。また、情報収集や成果発表のための旅費、関連する知識の獲得のため、書籍を購入する。
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Research Products
(2 results)