2012 Fiscal Year Research-status Report
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24500375
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
金子 涼輔 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40390695)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 神経回路形成 / GABA / 遺伝子改変マウス / 小脳 / バスケット細胞 / プルキンエ細胞 / tdTomato |
Research Abstract |
本年度は個々の神経回路を可視化する実験系の開発を試み、成功した。具体的には、ごくわずかのバスケット細胞で蛍光タンパク質を発現するトランスジェニック(Tg)マウスを作製した。実際には、以下2系統のマウス{1}{2}を交配した二重Tgマウスを用いた。以下にその内容を記す。 [1系統目] Cre依存的GABAニューロン特異的な蛍光タンパク質発現マウス:Cre活性依存的に赤色蛍光タンパク質を発現する、VGAT-stop-tdTomatoマウスを作製した(2012年6月 ゴードン会議にて発表)。「GABAニューロン特異的」かつ「充分に強い蛍光」を確認ずみである。[2系統目]バスケット細胞でまばらにCre活性化するマウス:上記VGAT-stop-tdTomatoマウスにおいて、ごくわずかのバスケット細胞でCre-loxP反応を起こさせることで、バスケット細胞をまばらに可視化することを目指した。薬剤(タモキシフェン)投与量によってDNA組換え頻度を制御できるGalntl4-CreERマウス(申請者らが作製)を利用した。 可視化条件の検討:まずVGAT-stop-tdTomatoマウスとGalntl4-CreERマウスとを交配した2重Tgマウスを作製・解析した。Cre-loxP反応が起きる細胞種と頻度は、タモキシフェン(Cre活性誘導薬)の投与量と時期に依存することが知られている。そこで、タモキシフェンの投与量と時期を様々な条件で検討した。その結果、妊娠18日目にタモキシフェン0.5 mg腹腔内投与によって、ごくわずかのバスケット細胞を可視化することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度には、個々の神経回路を可視化する実験系の開発を行う計画であった。概要欄に記したとおり、本計画はおおむね達成できた。また、25年度に計画している実験を行うための準備状況も順調である。以下にその内容を記す。 [24年度に計画していた内容の進行状況] まずVGAT-stop-tdTomatoマウスとGalntl4-CreERマウスとを交配した2重Tgマウスを作製・解析した。タモキシフェン(Cre活性誘導薬)の投与量と時期に依存してCre-loxP反応が起きる細胞種と頻度が変化することが知られている。そこで、タモキシフェンの投与量と時期を様々な条件で検討した。その結果、妊娠18日目にタモキシフェン0.5 mg腹腔内投与によって、ごくわずかのバスケット細胞を可視化することが出来た。 [25年度に予定する実験の準備状況]:上述のとおり、個々の神経回路を可視化する実験系の開発に成功したので、25年度は当初の計画どおり「Pcdh欠損マウスにおける個々の神経回路の形態学的解析」を行う。このためには、Pcdh欠損マウス、VGAT-stop-tdTomatoマウス、Galntl4-CreERマウスの全てを交配させた多重Tgマウスが必要となる。多重Tgマウス作製には多大な時間を要するため、24年度中から交配を開始した。既に、解析サンプルを得るためのマウスを作製するために必要な親世代のマウスが1匹得られている。今後は、親世代マウスの数を増やすべく繁殖を進める。以上のように、準備状況も順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度は「Pcdh欠損マウスにおける個々の神経回路の形態学的解析」を行う。以下にその内容を記す。 [Pcdh欠損マウスにおける個々の神経回路の形態学的解析]:以下2系統のPcdh欠損マウスにおけるバスケット細胞―プルキンエ細胞間の神経回路を形態学的に解析する(大阪大学・八木健教授、三重大学・齋藤浩充助教、新潟大学・崎村建司教授との共同研究)[*Pcdh-α&β二重欠損マウス(作製済)、*プルキンエ細胞特異的Pcdh-γ欠損マウス=Pcdh-γflox; d2-Creマウス(作製中)]。平成24年度に開発成功した個々の神経回路を可視化する実験系を用いて解析する。 興味深いことに、Pcdh-α&β二重欠損マウスでは軽微な運動障害が観察される(平野ら、未発表データー)。Pcdh-γを全身で欠損したマウスは生後すぐに死亡するため、d2-Creマウスを用いてプルキンエ細胞特異的にPcdh-γを欠損する。 Pcdh欠損マウスではバスケット細胞の配線パターンが異常になると予想される。特に、1個のバスケット細胞が結合するプルキンエ細胞の選択性(数や空間的配置)に着目して解析する。解析時期は本回路の形成前(生後0日)、成熟途中(生後7~14日)、完成後(生後21日)を行う。灌流固定、切片化の後、所属機関共通機器の共焦点蛍光顕微鏡Zeiss LSM510を用いて観察する。切片化の際には現有のLeicaクライオスタット装置を利用する。撮影画像の解析の際には現有の画像解析ソフトウェアNeurolucidaを利用する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度はマウス飼育数が増える。また、組織学的解析の際に用いる試薬(抗体など)は高額なため、その購入費用にも多くを充てる。 マウス飼育費用:30万円、試薬・プラスチック類購入費用:100万円、学会参加費および国内旅費:40万円 24年度の配分額を計画的に使用した結果7万円の残額が生じたが、25年度の配分額と合わせて執行する予定
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Research Products
(6 results)